【見返される事のない走り書きには彼の母国語が記されている】



それが偽善ですら無いなら、礼なんて独り言と同じだ。必要ない。



――敗走した先でも魔物。
今度は楽に蹴散らせた。
燃える剣ってのはどうにもタチが悪い。
もっと便利なもんだと思ってたが。




……何だ、こいつは？
心配そうな声の一つでも上げたなら、偽善者と笑っただろうか。
ただ、そうすることが当然だとでも？
だとしたら、盲目なのはこの娘の方だ。






気紛れで、手当てし返した。
男に触れられるのが嫌なのか、少し体が強張っていたが、知った事じゃない。

少し気が変わった。
このヒトの不良品のような娘が、まだ着いて来る気が有るのなら。
しばらく手許に置いておくのも、いいだろう。










手当てを終えて、これからどうすべきか悩んでいたところで、他の参戦者から声が掛かる。
組む条件は、破格と言って良い。
道程は変わるが、断る理由はなさそうだ。
先達のやり方も見ておいて損はない。