「クレーさん、やりました！これがスライムですね！」

アルーテに頼まれて、魔法生物の作り方をつきっきりで教えていた。一晩かかって、やっと最も簡単な魔法生物であるスライムを生み出すことができるようにはなった。

「よくできたわね。ひとまず、剣術でいうところの剣を持つぐらいのところまではできるようになったかしら」
「・・・まだそんなところですか。やはり難しいですね」

ただうねうねと動くだけの単細胞なスライムを生み出すぐらいなら、魔法の素質がある人であれば、ものの数分で出来てしまうだろう。それが一晩かかってしまうということは、やはりアルーテには向いていないことなのだろう。

「この作ったスライムは、どうすればいいでしょう？」
「・・・他人に迷惑をかける前に、処分するのがいいわね。放置しておくと、野良モンスターになる可能性だってあるから」

処分、と言った瞬間に、せっかく苦労して産みだしたスライムを処分するなんてとんでもない！こんなにかわいいのに！というような顔をしていた。だが、自分が産みだした魔法生物の責任は、自分で取れるようにならなければいけない。それは、魔法生物を作る上では、魔法の素質があることよりも大事なことだ。

「・・・わかりました。モンスターになってしまうよりは、処分、してあげたほうがいいんですよね」
「そうね」

アルーテは真面目でやさしい子だ。やはり、魔法生物づくりは向いていないかもしれない。

ちょっとだけ兄自慢。

名前の概念がまだあまりちゃんと浸透してないので、なんとなく未定のままな子とかもいるのだとか。
そんな前置きをしてから、スライムな妹の話に戻ります。

どうやって子作りしたのかは永遠の謎ということに。

生き物の扱いには気をつけましょうと注意のひとこと。

これからどこへ向かうつもりかと訊かれれば、