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"蛇"に襲われた。

ダミーオアシスでも、レッドドラゴンでもない。
まるで特撮モノから抜け出てきた――が、雰囲気がそれらしくない、蛇を模したヤツに。


「うーん……」

『だいじょうぶカ？』

「んあ、だいぶよくなったよ」


やる気がない笑顔のまま、彼はぽんっと傍にいる小人の頭を撫でる。


カカポたちの活躍で相手を退くことはできたが、彼も深い怪我を負ってしまった。
今はたまたま見つけた廃墟となった館で休んでいる。

もちろん、"蛇"によってできた無数の傷は、カノンのお陰できれいさっぱり無くなっている。
しかし、1日経ったのにも関わらず、未だに痺れが取れない。

それは"本人"の力よりも"弱い"からか、毒が回り過ぎたからか……それとも両方かもしれない。


『さシでガマシイコトジャガ、ヤハリまんとどのノやしきニいクベキデハ？』

「……昨日言った通り、アイツらにも迷惑かける訳いかねーから……理解してくれな」


彼はなんとなくだが、"蛇"は生きている可能性が大きいと考えていた。

……本物の蛇と同じようにしつこいヤツならば、また襲ってくるはずだ。
それならば、彼らと一緒にいれば巻き込んでしまうかもしれない。

危険な事に知り合いを勝手に巻き込むことを嫌う彼は
考えて考えた結果、「しばらくは顔を出さないようにしよう」と決めたのである。


『ジャガ………イエ、あるじガソウイウノデアレバ……』

「ごめんな。心配してくれて、ありがとな」


痺れが残っている今、正直言って助けを求めたいところではあるが……
このぐらいの麻痺ならば、動けない訳でもない。


「それにしても、まさか怪人にも食われそーになるとは」

『アチラデモタマニくワレソウニナッテオルガノ』

「…………俺は猛獣使いじゃねーし簡単に対応できっかよ」


なんてぼやきつつも、壊れかけのソファに寝転がる。
軋むバネの音と何かが折れた音が聞こえたが……彼は気にせず目を瞑る。



「何だ、猛獣使いではないのか」

「そーや。俺は封印召喚技術のせんｓ……って、お前なんでいるの」


渋い新たな声に再び目を開けて、壊れた窓を見てみればそこには巨大なドラゴンの顔。
――"蛇"に襲われる前に戦ったエンブリオの1体だ。


「勝手についてきているだけだ。儂の勝手だろう」

「ふつー契約したら、とかじゃね？」

「儂は契約など気にしない性分でな。
　これからは好き勝手やらせてもらうぞ」


その言葉に彼はため息をつく。何が気にいったんだろうか。
そんなことも気にせず、赤いドラゴンは続ける。


「普段はお前から離れて行動をしよう。
　儂の力が必要となったら、そこに居る儂の仲間に頼んで呼び出せ。
　儂はいつでもどこへでもお前の下に現れようぞ」

「え、いｙ」

「話は以上だ。あとは勝手にやらしてもらう。失礼するぞ」


ドラゴンは半ば一方的に話して窓から顔を引いたかと思うと、
突風を吹かせてどこかへと飛んでいってしまった。

"仲間"とは恐らく、ソファの横にいるカノンのことだろうが……それよりも



「諦めるという事はないんかい！」



――という声は完全に風の音に書き消えた。

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※宿によるロールが関係してたりしてます。
ENo.435 卍人さんをお借りしました。ありがとう！！

もうそこしかおぼえてない