世界漂流二十八日目


◆◆この世界について◆◆
生物、もしくはエンブリオの生息域に関しては前々から疑問には思っていたが、あまりにも異様であると書かざる終えない。

○ピグレット
まぁ豚である。
豚以上の何かかもしれないが、豚としか言えないだろう。
豚というのは家畜としての価値が高く、食用として最も人類に親しまれていると言ってもいい。
まぁあくまで私の故郷限定かもしれないが。
──観察した限りであると、『ヒップアタック』からの謎の回復を見せる生物である。
豚と言えば、豚型異族というのは滅法少ない。
これは過去異族が迫害を受けていた時代に絶滅までに追い遣られたと言う歴史のためである。
当時の事情は窺い知れないが、下手に力のある異族は人間を脅かしていたため、その報いであったと言われる。
私のような狐型異族は力があまりなかったので生き延びた、と言うと何だか皮肉なものかも知れない。

○ライオン
ライオンである。
……いや他の表現を知らんのだが、ライオンをライオン以外で表すとしたらデカい猫だろうか？
正直なところ、それ以上の表現もないぐらいにライオンである。
この世界のライオンも……ライオンである。
観察できた時間が短いのもあるが、それ以上の特徴が本当にない。
と言う訳でライオンはライオンであった。
……庭にライオンがいるというのもおかしな話だ。
と言うかここで生きてるんだから、食料はなんであろうか──隣の豚だな。

○ドレイク
この名前から想定されるのは、海賊女王クローディアのライバルとされる海賊ドレークである。
海賊女王の物語は全部で三つに分かれている。
幼少期から島の革命までの物語を第一とし、第二は女王と後に夫となる人物との恋愛譚、第三は女王と言われる所以の海の傭兵時代と晩年を記した物である。
最も人気があるのは第一であり、第二の物語は史実に反するとも言われるが、女性の人気が高い。
第三の物語はほぼ史実通りで、謎の失踪で終わる点が改編されている物が多い。
海賊ドレークは第一の物語に出てくる、所謂悪役であり女王の片脚を斬ってしまう程の剣豪である。

この世界のドレイクは雷を操るため、似ても似つかぬと言う所だろう。
また、とにかく素早いく痛いという所か。
エンブリオらしく、ヴァンエッタがかなり欲しがっていたのだが……何を血迷ったのか、契約上限であることを忘れていたようだ。