古びた屋敷を軋んだ音を立てながら進む。山の頂上近くに浮遊城のようにして在るそれは、歪んだ化け物達を多数内包しながらも、我々に不安感ではなく、何かあるという期待を示してくれるものだった。それに不思議と安心したのは何故だろうか。多くのものが戦い、敗走したあの険しい山道はこの先に本当に何かあるのか？という謎ばかりを我々に示し続けてきた。結果としてそれはあった。徒労ではなかった。そんな開拓者たちの希望がここにはあふれている。
病巣のように点在する蜘蛛の巣や、瓦礫、壁の崩れたところ。その年代からここで争いが起こった、というよりもただ風化していったものだと思われるそれらをみつめながら必死で探していた。この争いにおける何らかの手がかりを。
ただ勝ち進めば良いと闇雲に考えていた俺をそうさせる何かがどこにあったのかなどはわからないが、ただ暗い城内の中を、時折別の城内に行くために陽を浴びたことはあれど、ただひたすらに城内を彷徨い続けて疲弊した心を──癒やすための何かが必要だった。
冷えきった石のカケラでは身は守れても、戦いで疲れた筋肉を冷やせても、どこかで芽生えた本当にこの戦争は終わるのかという危惧と、俺がこの世界にしてやれることとは、という一種の英雄気取りの感情を支えることはできず、ただぶらさげていた。のだが。






「・・・・・見定めるべき、相手です」



「・・・力を持つべきか、否かを―――」





ようやく、癒してくれる光に、出会えた。