思案と考察

死体を操る術式という物がある。
方法としてはいくつか存在していて、私がこの世界に来た切っ掛けになる事件にもこの術式は関わっている。

方法1.死体を操作系術式で操る
これは単純で、要は操り人形だ。
この方法の特徴は最も単純で明快であるということ。
予め操作工程を作っておく事で半自動的に動かす事が可能であるが欠点もある。
一つは手動の場合一度に大量に操る事は不可能である。
もう一つは半自動の場合複雑な工程を組む事は出来ない、組んだとしても大量のエネルギー消費が発生することだ。
単純作業、と言う点において最も効力を発揮する。

方法2.死体を死んだまま動いて貰う
解りづらいが、要は体が死んだまま知能知識と体を動かす動力として念導系術式を与える事。
特徴は与えた知能知識によって勝手に動くので、手間がかからない事。
複雑な動作だろうがなんだろうが、ほぼコストが変わらない事だろう。
もっと単純に言うなら、死体のゴーレム、人造ゾンビと言ったところか。
あの事件、大量殺人術式からのこの術によって多数の"ゾンビ"を生み出すと言う方法で、私もピンチに陥ったのだが……
と言うより人間への対抗手段は用意していたが、ゾンビへの対抗手段はさっぱり考えていなかったのだ。
元の世界に帰るまでに、この対策も考えなければならない。

方法3.少し意味が違うが"リビングデッド"種族
そもそも種族の特徴として、"死んでいる"と言う種族が居る。
知能知識はあり、コミュニケーションが可能で二足歩行、とどのつまり人類種扱いなのだが──
食事は光と水（植物？）、昼行性で基本的に茶を啜って日々を過ごす平和な種族だ。
死んでいるが。
見た目はまさに死んでいるように色白というか青白い。
何故か腐らない。
やたらと服装にこだわる。
どうやって個体数を増やしているのかは全くの不明である（気づいたら増えている）。
と言った特徴がある。
うむ、謎の多い種族である。

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この世界でも死体を操る者が居た。
これもエンブリオの成せる技なのか、と考えたがそうとも言えない感じがある。
と言うより、この世界に来ていくつか出会っている、所謂「死んでいる」を冠する者たち。
これらは、前述"3"であるところのそう言う種族である、と言う感じが強い。
あの人間も、操っているというよりかは呼び出しただけ、と言う気がするが……
キョンシー、というエンブリオと契約をしたが、感じとしてはヤツが呼び出した死体共と同じ気がする。

気がする、が多いがとどのつまり何を書きたいかというと、エンブリオとして契約できる物と出来ない物、ここの差は何であるか、と言うことが気になるのである。
あのスケルトンもグールも、あの人間と契約しているのではないかと。
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