―航海日誌二十一日目―

……はて、二十一日目で合っていただろうか。
確か今日で二十一日目だと思うのだが、どうにも覚えていない。
まぁとりあえず二十一日目としておこうと思う。日付の正確さに意味などない。

さて、本日はまたパーティーから離れ、ユメたちと一緒に行動している。
その先で出会った一揆参加者と合流し、しばし周辺を探索。
……このたまたま出会った一揆参加者は、またなんとも奇妙である。
グレイと名乗った方はエンブリオと強く繋がってるようだが、そちらはまぁ珍しい話ではない。
不思議なのは、機械人形と、それが引き連れる子供たちの方。
……不思議だ。
機械人形はそう珍しくもないが、子供を引き連れて戦っているというのはなんとも奇妙だ。
が、あまり詮索するような物でもないだろう。
とりあえずあまり深く考えないようにし、協力することにする。


……それにしても。
それにしても、だ。
俺、キーシュ、ケンドリック、そしてユメたち妖精組。
俺たちはパーティーと銘打ってこそいるものの、実際のところは個別行動が多い。
二人組に分かれるだの、一人だけ抜けるだのはしょっちゅうで、全員揃う方が珍しいとすら思う。
前にも書いたが、元々俺たちは根無し草の集まりだ。
だがそれにしたって、これではパーティーと呼んでよいものか。

今の俺は、ユメとその仲間の妖精たちと一緒にいる。
どこかではキーシュとケンドリックが一緒にいるのだろう。
俺たちの進行方向を指し示すのは、前にも言ったがキーシュだ。
なら、ユメはどうなのだろう。
興味津々といった様子で同行者の周囲を飛び回る彼女を見て、ふとそう考える。

答えはすぐに出た。
彼女は俺たちを“そそのかしている”のだ、と。
もちろん悪い意味ではない。
キーシュが決めた道筋を、より面白おかしくしようと飛び回り、囁いてそそのかすのだ。
いやなるほど、確かに彼女は妖精である。
沼地にはランタンを掲げて人を迷わせる妖精がいると聞くが、ある種それに近いと思う。
より派手に、より楽しく、より面白く、より激しく。
きっと人が旅路に求めるのは、そういう要素だ。
彼女はこっそりと、あるいは自然と、俺たちをそういう方向に誘導する。
あちらにそういう意図があるのかどうかは、残念ながら俺では推し量れないが。

まぁ、少なくとも彼女といれば退屈はすまい。
例えるならば、春風。
人を自然とその気にさせる、なんとも素敵で厄介な春風だ。
そう思うと、彼女たちの悪戯も可愛いものだとすら思える。
……この思考自体が、無意識に仕掛けられた彼女の罠だという気がしないでもないが。
それでも、退屈を嫌う根無し草どもが楽しく旅できることを、心の中で彼女に感謝しておこう。

（この日の日記はここで終わっている）

そう言って、担いでいた銛を軽く振ってから逆手に持ち変える。
銛を撃ち出すための構え。鯨捕りが誇りとする、戦の構えだ。

そういってフォッセグリムさんを軽く攻撃します。

そう言うとフォッセグリムさんの楽器を奪い、振り返ることも無くユメ達の後を追います。
　　　　　　　　　堕天したことでセラちゃんの能力が大きく変わります！