少女、杜若明日香は不敵な笑みを浮かべる。

少女は声をかけた少年へと羽織っていた学ランを投げる。
デン！
デン！！
デン！！！
デデーン！！

少女は変わらず不敵な笑みを浮かべる。
学ランを投げられたモブ雄がその拘束から解除され、思わず声を荒げた。

解析の瞳を持たない方々のために説明しよう。

……不要らしいので、種類だけ。そうあれは……

　
　　金属質に変容した両掌を突き出すと、周囲の空間の一部が歪み始める――
　

モブ太は自然とヤサカの胸へと右手を伸ばす。

伸ばされた右手の手首を左手で掴み、右足を大きく踏み出す。
そして右手をそっとモブ太の肘に添え、掴んだ手を引く。

引き寄せられたモブ太はバランスが崩れ左足に重心が偏る。
その体重が乗った左足がヤサカの踏み出された右足に引っかかり、
まるで地面に吸い込まれるように背中から倒れる。

そして、ヤサカはモブ太の肘を真っ直ぐに保ちながら、
掴んだ手首を外側へ直角に折り曲げ、固めた。

この間、僅か一秒ッ！

4人を見回し。それから抱えていたイルカの浮き具を見下ろして。

ビーチバレーでも、する？　と、海辺の遊びのお約束をひとつ、あげてみた。

そっと丁重に引き剥がしつつ。意識の有無を確認して。

そう言いながらもいそいそと彼と引きずって行く先は、教諭の待機場所ではなく岩場の陰。
そうして何処からともなく犬の遠吠えがしたり、快晴の空に虹が広がる現象があったりなかったりした後。

ぐ、とさむずあっぷしながら、完治した少年と共に戻ってきた。この間５分。

少女は不敵な笑みを浮かべる。

いろんしか　ない　くみあわせだ！

第一球、サーブはもちろん明日香。なぜならそこに届けたい気持ちがあるから。

ガキンッ
ビーチバレー用のボールが鉄の様な音を立てる。
あきらかに　だれがみても　なにかした。

ふわり。
球が高く舞う。
たんっ！
合わせて少女も地を蹴り、空へと駆けた。

ミシャリッ！
球が歪む。
明らかにボールが立ててはいけない音を立てる。
そう、まるで鉄を竹で思いっきり叩いた様な。
――グバンッ！
そうして放たれた。
圧倒的オーラと高さ、そして質量。
全てを兼ね備えたボールが、マコトへと迫る。

提案を快諾するとヤサカはすばやくコートに入る。

ネット越しに構えるしなやかな肉付きのヤサカの姿はまるで……

　
　　居合い、抜く――
　

何かに気づいたようです。

そう言って少女は海へと走る。
……向かう先に三角の鰭が見えているのは気のせいではなさそうだ。

海面をすべるように動く鋭い鰭。
優雅に（？）泳ぐ美少女の前に、今海の脅威が立ちはだかる！！

　
　　納刀すると、次の目標を静かに見据える――
　

　
　　全身全霊の――スープレックス。
　

　Enchantment mode < Battle Cry 25 >
　

モブ太に黒い影が忍び寄る。
黒いそれは水面から顔を出した。

水をかける。