次の日には探しに行きたかったんだけど、一揆の活動が忙しく、なかなか時間が取れなかった僕は、あれから8日後にしてようやく時間を見つけることができた。

すっかり夕暮れ時だ。
仲間たちと別れた後、僕は町へやってきた。
いつも寝泊まりでお世話になっているお菓子屋さんを通り過ぎ、以前に子供たちに教わった所へ急いだ。

町はずれにぽつんと佇む、ぼろぼろの教会。

本当にここだろうか？
扉は壊れて開け放ったままになっているし、天井は崩れてしまっている。

あちこち板が外れて、剥き出しになった土からは蟻が出入りしていた。

まずい。
彼らに気付かれないようにしなければ。

僕はお菓子だから、食べてもらえるのはいいのだけど。
彼らの食べるスピードだと、食べる端から治ってしまう。
そうなると彼らは僕を離してくれないだろう。

意思疎通できる動物ならいいんだけど、残念ながら昆虫は無理だ。


僕は荒れ果て、土埃に塗れた中へ、汚れに気を付けながら入って行った。
今にもお化けが出そうな所だ。
それに間もなく夜が来る。

祭壇まで辿りつく。
一神教の見慣れた教会に良く似た造りだったけど、そこに飾られていたものに、僕は一瞬目を奪われた。

見たことのない偶像だ。
何かの顔だろうか？
歪んだ笑顔を浮かべた怪物に見える。
頭には3つの目があって、そこから炎が噴き出しているような像だった。

恐ろしい偶像。
僕はこんなものは見たことがなかった。
一体、ここではどんな信仰がなされていたんだろう。
邪教の類だろうか？

視線を落とすと、蝋燭台と壁の間の床に、取っ手が付いているのが見えた。
近付いてみると、人ひとり出入りできそうな大きさの扉になっている。

僕は自分の杖を呼び出して、梃子にして取っ手を持ち上げた。
ちょっと苦労したけれど、どかしてみればそこは地下道になっているようだ。
やや湿った空気が吹き上げてくる。風が通っているようだ。
当然だが光も無く、真っ暗だ。

なぜか妙にここが気になった僕は、下に降りてみることにした。
けれど、すぐに降りるなんてことはできない。
どうみてもただ土を掘っただけの場所。
湿ってたり水の多い場所だったりすると僕がやられてしまう。

僕は乾燥剤と袋（レインコート）で身を包み、思い切って闇の中に飛び込んだ。

スズメの食事は、大変サバイバル感にあふれていた・・。