一揆がしばしのお休みしていたある日の事
一人の時間に、私は少し考え事をしていました。
日々、探索と戦闘の日々だったのでうっかり皆さんに聞き忘れていたことが。

「何がですか？桃姫さん？」
「あら、私思っている事、声に出していました？」
「いやいや…」
采珈さんが気づくと背後、と言ってもハッと驚く距離でもなく
嫌味でなく、それでいてそこまでの気配を感じさせることもない
絶妙な距離にいた。

采珈さんは常に笑顔を崩さない。
笑顔が崩れたとしてもその纏っている余裕を外すことはない。

「姫君の懸念を、先に伺う事も務めですから」
慇懃でない自然態度で、胸に手を当て、礼を払って頂いた。
「いえ、あのそんなに、いつも良いですよ。
　私は采珈さんのご主人様という訳ではありませんから」

気持ちはありがたいのですが、なんというか申し訳ないのです。
とはいうものの、身に着けた習性が変わるとも思えませんが…
きっと

「これは私の生き方ですからね。
　なかなか、これ以外は難しいもので…」

「そうですか…」

「そういえば、何が疑問なのですが？」
どう顔色を伺ったかは聞くまい。
「はい、皆さんが一揆に加わっている理由です。」

「ふむ…」
顎に手を当て、少しだけ考えるそぶりを見せる。
実に優雅ですね。

「いえ、アザリヤさんも采珈さんもなぜ参加されているのかなって」
らこさんは…えっと暴れたいからかしら？
「なんかここまで、それを聞かずにきてしまって。
　大変今更だなとは思っているんですが」

「確かに、今更ですね…。」
「えぇ…大変失礼な事なのですが」
「今更過ぎて、少々私は失念してしまいました。」
笑顔で返されてしまいました

「それはさておき、紅茶は如何ですか？」
気づいたら、４人分のティーセットが用意されています。
「お二人も買い出しからそろそろ買ってくる頃かと」

そうですね
「ただいまですわ、あら良い香り。外が寒くて、手が冷えてしまっていますの
　さすが、采珈さんですわ」
アザリヤさんが片手に荷物を、大量に抱えている。
「いや、なかなか骨が折れるね。」
「あらあら、これでも私の本気は抑えさせていただきましたのよ？」
アザリヤさんは心なしか疲れた顔で
「私の戦場はここにあらずか…」と天を仰いだ。

「お二人ともありがとうございます。
　少しご休憩なさってください」
采珈さんが執事然として、お茶のカップを二人の前に置いた。

まぁ、考えていても仕方ないですわね。
そろそろ、休日も過ぎていきます。明日からまた、頑張らないとなりません。

そういえば
私なんで、一揆に参加しているのかしら…？