記：＊＊＊＊＊＊

職務怠慢――、と君は笑うだろうか？

「……いや、違うな」

　もちろん、老人たちは私のこういった行いを生ぬるいだとか、それこそ職務怠慢であると言うだろう。しかしながら、世界には自分自身をより良くすることが出来る。我々が手出しをしなくても……。

　それこそ、先ほど乱された静寂が特に何をしなくともこうして再び静寂を取り戻したように……。だからこそ、私は君に「楽しんできなさい」とだけ伝えたのだ。

　――さて、あまり私がでしゃばるのは良くないな。以降はストーリーテラーとして君の活躍を綴っていこうと思う。


我が子に神々の導きがあらんことを……


§§§


記：ケル・サーベラス

　突然現れた妙な二人組みは、ひと通りのことを告げるとさっさとどこかに行ってしまった。もちろん質問する暇なんか与えてはくれなかったし、質問をさせない雰囲気も出していたのだ。
（あのルリアンナって子には逆らわないほうがいいかもしれない……）

　つまるところ、何をしたら良いかわからない。仕方なくはるか遠くに見える城を目指して歩き出した私は、ふと聞こえてきた吟遊詩人の歌声に導かれるように色とりどりの花が咲き乱れる広大な庭園に足を踏み入れることになる。

　遠くに見える幾人かの人影はパーティーだろうか？どんな人達がこの一揆に参加しているのか、新しい出会いがとても楽しみだ。

　
それにしても……さっきから感じるこの視線は何?!