ずっと探していたものがハリボテだったと気付いたらどうする？
追い求めた先に何も待ってなくていいさと、胸を張れるか？
覚悟の差を痛いほど突きつけられた昨日がいつまでも追いかけてくるのか？
良かれと信じていたものに裏切られたと感じてしまったりもするか？
わざとらしい仕草こそが正義だというとこが結果論的に導き出されているか？
誰にも見えないぽっかりと開いた穴の存在を仄めかし続けるのか？


この世界に来てからも、英雄みたいなやつをゴロゴロ見たし、情報も集めていた。
彼奴のような腐った奴もいれば、私が心から焦がれた想いを甦らせる奴もいた。
結果が英雄へ昇華する。
幾多の認識が英雄を形作る。
英雄に溺れるもの。英雄に失望するもの。英雄に導かれるもの。


いつだって英雄は感情の坩堝の中に在った。
それは何よりも恐ろしく疎ましいが
実はそれが何よりも羨ましいのかもしれない。

土乞に近寄り小声で話しかける。ジンギロウは気づいていないようだ。