目の前に聳え立つ巨大な城は、まるで要塞のようだ。
自然に溶け込むように造られているせいか、群峰のようにも見えた。

元素の世界、メルンテーゼ、王城。

こんな遠い場所までやってきた理由は他でもない。
「魔法剣士」を目指すなら、当然、魔法を行使できるようにならなければならない。

メルンテーゼまで分割世界を移動し、この世界特有の生命体である、
エンブリオという存在の力を借りることで、魔法を使えるようになるらしい。
「一揆」に加勢すれば、エンブリオとの契約を無条件に行う事が出来るそうだ。
これを利用しない手はない。

今のところ、元の世界に帰る手段はない。
「一揆」に参加し、一人前の魔法剣士になる。それからの事は、それから考えればいい。
帰る手段は帰る理由が出来てから考えれば十分だろう。

ルリアンナという女性に案内され、契約の手続きを進めていく。
彼女が呼び出したのは、隻眼の大男。どうやら、腕試しが必要らしい。

ちょうどいい。この世界で自前の剣術がどの程度通用するか、試してみようじゃないか。
それに、エンブリオ。こいつの使い方を、少しは練習しておかなければ。