満足街の一角、役割論破「ヤティスファクション」の拠点。

閑静が占める朝の満足街に、
まな板と包丁が奏でる一定のリズムとコトコトといった煮炊きの響きがひとつ。

どうやらＲＪが珍しく家事をしているようである。


ひとさじ程、鍋の中を掬い、確かめるように一口。また一口。
ふ〜ふ〜息を吐きかえながら運んで行く。

反芻の後、やや顔が弛緩する。上手くできた模様である。

ＲＪにはこの世界に来た以前の記憶がない。
仲間の手前、あまり気にするそぶりは見せはしないものの、
やはり故郷は気になるようで、一人になると思いを巡らせることがあった。


しかし、一人悶々と悩むのは性に合わないらしく
なんらかの方法で自身の記憶を確かめる方法を探そうと齷齪する。


そこで今回は連日夜なべで装備を作るもけもけへの慰労も込めて、包丁を握ったようである。

実験作的な料理を仲間に振舞おう、というのだから大概だが。

※“お話”、の内容は読み手の想像に任せよう。

寸劇を繰り広げていると、外から何やらﾄﾞｻ、と物音がした。
どうやら朝刊が来たようだ。
聞かれたか？と少し顔紅潮させつつ、
火を止め、戸口へと急いで行った。

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新聞を手に取り、長椅子の上であぐらになる。
ほとんどおっさんの体勢であるが人目がないせいか気にしないようだ。

新聞の見出しにでかでかと書かれた記事には、
進行先各地で難敵・強敵の出現情報が多く載せられていた。
その中には到底、現在のＲＪたちではかなわない者も多くいる。

記憶を取り戻すのが目的のＲＪではあるが、現状明確な手段は見当たらない。
わかっているのは恰好や言語、記憶がないことから
自分がこの世界の住人でない、ということだけである。

彼女は元の世界に帰る方法どころか、何処の世界から来たのかすらわかっていないのだ。

まずは自分のこと、自分の世界のことを少しでも知る人を頼るのが必要となる。
すなわち他世界から来た一揆参戦者と交流するのが近道である、そう考えたようだ。

従って彼女が一揆参戦をやめる理由はなかった。


なにより、今の彼女には仲間がいる。
ヤトモス、ギロ、もけもけ……。
目的は違えどもＲＪと共に進行してくれる彼らのためにも、歩みをとめることわけにはいかない。
例えどんな難敵の存在があろうとも、である。


しかし憂いが多少あるらしく、あぐら状態のままうんぬんと悩みだす。
大方自身の能力のことであろう。

固い・強い・遅いの三拍子そろった強力な物理前衛のアーダンヤトモス、
回復ビルドの下地が完全に出来上がりＴＡＳってるギロ、
よく寝るもけもけ


彼らに比べて将来性が不安な鍛え方と装備をしているＲＪにはやや焦りがあるようである。

記事の一角のゴシップ記事に目をやる。
【神秘の力、エンブリオ合成!?ユニコーンは作れ！れっつびぎにんぐ馬】

こちらの焦りに感づいたのか、ふと、私が潜んでいる照明の上に顔を向ける。
目と目が合った時、そこには、とても悪い顔をした私の契約者の顔があった。
……どうやら私の出番はここまでのようだ。

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カリカ(1305)さんにごめんなさい

とかかれたボードをもった猫がちかづいてきて、だいきんをてわたしました。