初めての集団戦を経験しました。
みなさんいい人でしたね。お強いですし。
でも、今まで知らなかった技の性能もわかったというか、計算が狂ったというか……カマイタチがまさか味方の攻撃を追尾するとは思いませんでした。今までずっとひとりで戦ってきた弊害ですね。
……一揆衆の情報共有広場でも、そんな話は聞かなかったんですがね……


さて、再び城内にやってきました。
前にも会った、このサバスという人。一体何者なのでしょう。
強制型エンブリオ、と言っていましたが。

エンブリオ、という言葉の意味。
本来の意味の略称、と彼は言っていましたが、言葉面を取るならそれは「未成熟の生命」。
今まで深く考えなかったけれど、エンブリオとの契約って、ということは生命として未成熟な存在の宿り木となり、対価としてその力の一端を引き出している、ということなのかしら？
だとすれば、このルリアンナさんから貰ったお花。ネクター――神の霊酒の名を冠するこのお花を与えることで成長し、一定以上に達すると具現化できるというのも、納得がいく、のですよね。
成長、というのが宿している力のことだけではなく、生命としての成熟度でもある、ということですから。
そして、この世界に大きな恩恵を齎す生命が甘露を以って成長するというのも、実に納得のいく話です。

では強制型とは何なのか。

仮説に仮説を積み重ねるなら、それは――寄生、というのではないでしょうか。

考えても仕方ないのかもしれません。
私は強制型エンブリオ、なんて出合ったこともないのですから。
けれど、どうしても無視できない響きがあるのは何故でしょう。

そしてもうひとつ。
「下手なことをすれば被検体を喪失してしまう可能性がある為研究が進んでいない」という言葉。
確か、森を抜けた先に、研究棟、とやらがありましたよね？