「ルクルクと一緒なのも久し振りだねー。すべすべとは結構一緒だったけど、なんか新鮮！」
「そうだねっ。カレンちゃんもいたら、屋敷に来るまでみたいな感じだったのに」
「ふふ、ごめんね、同行者が私になっちゃって」
「あっ、そのっ、えと、そういうつもりじゃっ」
　わたわた、と慌てたように両手を横に振るルクリちゃんに気にしてないよ、ということを示すようにひらひらと扇子を振りつつ、笑いかける。
「すべすべはイジワルしちゃダメだよーっ！」
「おや、そんな風に見えたかな、ごめんごめん。ついつい微笑ましくてね」
「イジワルするより、歌を歌ったほうがいいよ！　ね、歌おう！」
　めっ、とこちらを叱りつけるトーカの姿も微笑ましく、ついついこぼれる笑みを何と思ったのか、不意にトーカがルクリの手を握って歌いだした。
「え、えっ？」
「♪〜〜〜、♪〜〜」
　特に明確な歌詞ではなく、鼻歌のように軽やかに口ずさむ調べは、どこかで聞いたような懐かしい響きを秘めて、困惑した様子のルクリもゆっくりとではあるが笑顔になってリズムを取り出す。
「♪、♪」
「そうそう、そんな感じ！　ほら、すべすべもー！」
　微笑ましい要請に苦笑しながら、こちらも合わせて、適当なメロディを口ずさもうと目を閉じた。
　懐かしい、子供に聴かせるための、子守唄。