とある朝の話。
街の外れの小さな家に、小さな人だかりができていました。
いえ、それは、『家だった』と言った方が正しいのかもしれません。

それは、まるで中心部から、沼か何かに沈んだような、瓦礫の山でした。
外周部は辛うじて建物の原型を留めていましたが、中心部だけが沈んだことによって、
捻じれて歪み、無残に崩れて壊れているのでした。
そして、沈んだ部分は、誰がどのようにしたらこのような状況になったのかが不思議なほどに、
まるで地面が一時的に液体となったかのように完全に沈み埋もれており、
周囲に掘り返したりしたような痕跡は一切なく、見に来ていた人たちを余計に不気味がらせるのでした。

やがて、そこに伝令らしき兵士が現れ、数枚の書類と共に、責任者らしき壮年の兵士に報告を伝えます。

「……やはり、住人は昨夜、この家にいたようです。
　ここ数日は、例の噂もありますし、夜間に外出したとは到底考えにくいかと……。」

「ふむ……、そう考えると、やはり住人はこの下、と考えるのが妥当、か。
　確認するしかあるまい。

　……人払いを急がせろ、それから手隙の兵を集めるように！」

「……しかし、一体誰がこんなことを？」

「わからん。
　……が、おそらく人間の仕業じゃあないだろう。」

「酔狂な魔導士の仕業、という可能性もあるのでは？」

「あのな、魔法って言っても、何でもかんでも思いのままにできるって訳じゃあない。
　一見デタラメに見えるが、ちゃんとした理論の上に成り立っててだな……」

「その話は何度も聞きましたよ。
　しかし……人間じゃないとしたら、魔物、でしょうか。」

「おそらくは、な。
　ひょっとしたら、例の噂も絡んでるのかもしれん。
　偶然にしちゃ、時期も場所も重なりすぎているしな。」

「……。」


やがて、報告を受けたらしいシャベルやスコップを持った数人の兵士たちが現れると、
硬い地面の中から、沈んだ建物を掘り起こしていくのでした。


　+ + +


結果から言ってしまえば、そこには住人も、彼らがそこにいたという形跡も、見つかることはありませんでした。
作業中、人払いの為に通りに立った兵士が、立ち寄る人を何かと理由を付けて追い返します。

「……何か、あったの？」

「ん？　……ああ、ただの地すべりだよ。
　危ないから近付いちゃダメダメ。」

「……ふーん。」


そんな他愛もない会話をして追い返した少女が一人。
蒼白い髪に、病的に白い肌。
そして、感情が欠落しているかのような無表情にも関わらず、どこか満腹感に恍惚としたような、そんな少女でした。

やっぱりうまく説明できません、と溜息をついて。

なんか恥ずかしくなってきたので、そこで話を止めてしまうアムルなのでした。

お姫様や、優しい盗賊や、とてもきれいな恋物語。
そういうのがすごく好きなんです、と楽しそうに話すのでした。

それがないまま、ただ感情だけを身につけることは、とても良くないことです。
真面目な顔でそう言います。

特に怖いとも思わず口の頭？あたりを指でさすってみたり

伸びてきた尻尾に自分の尻尾を絡ませてもふもふ
結構その力は強くもみほぐすような動きです。

懐から出したまん丸いお団子を耳のお口へひょいっと
林檎時は反応がなかったけど味は感じてるのかな？なんて疑問に思いながら

そして、食べながらもう一つを手渡しするちなさん

微妙にトゲがはいってるようだ

そう言うと、羽をはためかせるのを止めて地上に再び降り立った。