□ Day 16 ： 迫り来る冬の足音

　冬。といっても、世界や地方によって冬がどんなものかは異なってくる。
　アタシの故郷、ニウノハラの冬は空気が冷え込んで、草木の成長がとてもゆっくりになる期間。
　田んぼの脇の水路に氷が張っていたり、山の木々がうっすらと雪をかぶっていたり。
　こー思い出すと、朝早くにおじーちゃんがストーブに薪を入れてる光景が懐かしい……

　今はもう、おじーちゃんはお墓に眠ってるけど。



　シセさんとゆーお姉さんと少しの間だけ一緒に敵を倒し、別れて地下牢の先へと進む。
　相変わらず石造りの壁からはひんやりとした空気が漏れているので、アタシは二の腕をさすりながら歩いていった。

　列の先頭を買って出たスタウロが、振り向いてアタシの仕草を見た後話しかけてきた。
　相変わらず生き物が出すような言葉じゃない――機械独特の合成音声を出しながら、淡々と話す。

　スタウロの顔に当たる部分の大きな光と、全身に刻まれた線が明滅していた。

　見ればスタウロはそー言ってから、一歩も動けないよーだった。
　……いや、歩こうとする途中の姿勢で、そこだけ時間が切り取られたみたいに止まっていた。
　駆け寄って背中を触ってみると、冷たい！

　まだ付き合いが長いとは言えないけど、スタウロは大事なエンブリオ。
　色々なことを知ってて、戦いでも役に立ってくれる、そんなスタウロがこんな早い段階で動かなくなるのは
　なんとしても、避けたかった。
　なのでアタシは必死で、泣きそうなのをこらえてスタウロの体をさすってあげた。

アルキメンデスも右手を伸ばし、差し出された手の平に自分の手を重ねた。

すこしどや顔で言った。

ルベルは意味不明な供述をしながらいまだに岩陰でガタガタ震えている！

ルベルは　こんらんしている！！

ずぶずぶ

[>アサミのポニーテールの中からギンゴが飛び出す。

[>一呼吸置いてから体をラズロに向けたまま、視線だけでアサミの方を見る。