仲間と戦う。　騎士とは本来、集団であるものだ。一人で戦うなど、そうないことだ。
しかし、私は一人だった。
騎士ぶっていただけなのだ。自らの生き方や振る舞い。
進むべき道として「騎士道」を掲げていただけだった。
民衆を王の暴虐から救いたい。そう思ってこの世界で旅を始めた。
しかし、やっていることといえば、ただ一人、立ちはだかるものと戦うだけ。
大局的に見れば、結果的には民衆を守ることに繋がるのかもしれない。
しかし、実感はない。妙に虚しい気さえする。
今まで倒したもの達も、本当に悪い者だっただろうか？
己が主のため戦おうとする兵士、自らの社会での活躍を望み鍛錬をする獣人、ただ自らの居場所を守らんとするオーク。
私が戦ってきたものは、悪だったか？　否。
彼らからすれば、私こそ悪なのではないのか？
私は一度でも、王なりの思惑を考えたことがあるだろうか？
私は一体何故この道を歩んでいる？王はなぜ花を取り上げる？

私はただ無力な、取るに足らない、完全な生き物にもなりきれない、有象無象なのではないか？

・・・やめておこう。泥沼にはまるだけだ。

いろいろなものが灰色で、一体なにが善なのか悪なのかもはっきりとしない。
自分さえも定まっていない。
それでも、今の私は一人ではない。
共に往く仲間ができたのだ。
とりあえずいまは、仲間との道を切り開くために
この剣を振るってみよう。