元騎士とは言え、庭師。
逆ならばまだ強かったような感覚も在るが、他愛なし。
技の訓練がてら倒せてしまうようでは、何とも救いがたくはある。

・・・とは言え、それだけ日数が過ぎている証左でもある。
この先、この集団は何処へと向かうのだろう。


噂に、敵の戦列に戦乙女の姿を見たと聞いた。
――ひと目、見てみたいものだが。

（――急に近づいたあなたとの距離に息苦しくなったのは、きっと熱せられた空気のせいじゃなくて。

そんないたずらに対し、彼にしては珍しく悪態をついてそっぽを向いた。
赤く染まった耳が言葉の真偽を物語っている。）

（また無意識に口をついた呟きは、その心境を語っているのだろう。）

（『自分で見付けてこそ冒険者だろ』などと少し的外れなことを言いながら、言葉を続ける。）

（自身への問いかけに首を傾げながら、たどたどしくも自分の言葉を、気持ちを組み立てていく。）

（『よくわかんねー理由でごめんな！』と言葉では謝るものの、
その表情は答えが出せたような、晴れた笑顔を浮かべていた。）

　
　　　　　　右手に、魔術力場を形成した。

　
　　　　　　興味深そうに手に取った。

　
　　　　　　静かに笑って、右手に魔術力場を形成した。