〜前回のあらすじ〜
「引け目語り的な？」
「そうだな」
「初めてあらすじらしい事言ったわね」
「そうだな……でも時間無いので簡易な、やりたかったイベントがまるっと出来てない」
「人間って１０時間寝た後でも８時間とか眠れるのね……」



「また、会いましたね」
「そうだな」

そう言って、対峙したのは昨日の樹精だった。
自分からまた、と言ってるくらいだから
同じ個体なのだろう。
それとも、樹精は個にして全であり、全にして個の存在なのであろうか。

「あ、もちろん昨日お会いした者ですよ」
「…………」
「けれど、遠くの森の状況なども把握することが出来ます、森は繋がってますからね」
「……そうか」
「ええ、ですから貴女達のことも多少は」

やりにくい相手だ。
相変わらず、見透かしたような話方をする。
それでも

「貴方の力が、私は必要だ」
「ええ、そうでしょうとも……」

薄く笑って答える樹精。
余裕だろうか、それとも……。
そんな樹精の周りには気のようなものが発せられていた。
白い、柔らかい気だ。
癒しの技を使うからだろうか？
それとも……。

もわもわ

というか、あの気、なんかもわもわとしてるな。
まるで湯気のような。

もわもわぁ

「ほっかほかだよー！！」
「…………」

ゆ、湯気だー！？

「え、何その……なんだ、その……え？」
「ああ、こちらですか？こちらは歩行温泉さんです、すぐ暖かくて良い方です」
「そ、そうか……」

温泉だからな、それは暖かいだろう。

「後、疲れもさっぱりとれます」
「入れるのか」
「温泉ですから」

入れる……のか。

「温泉よ」
「温泉だな」
「温泉ですね」
「温泉ですわ」
「「「「……（ゴクリッ」」」」
「あ、あの……皆さん目的急に変わってません？」
「……いや、そんなことはないぞ。ハハハ」

よし、うん。
これからの季節どうしても必要だからな。
出来れば上手く捕獲でもしたいところだが……。




その結果．．．．．．




「ほっかほかだよー！」
「「わ、割れたー！？」」
「あらあら」
「Check...交戦中敵勢力の第一目標のVital Signsが……低下を……」

仔犬、やりすぎだ。
確かにしつこかったのは判るが、焦りすぎたな。

「まぁ、まだ直せるだろ」
「そうね」
「いけますわね」
「……絶対に直します」
「あの、せめて治すと……」

樹精が苦笑をしてくる。
まぁ、向こうも分かってたんだろうなぁ。
とりあえずそのためにも

「さっさとその柄の悪い林檎を駆除してしまおうか」
「ええ、頑張ってくださいね」
「「止めねぇのかよ！？」」

ファッションの話をするのが好きなのか、目を輝かせて絶え間なく喋り続ける。
大げさな身振り手振りが付くのは彼女の癖である。

シュガーは怨霊と会話をしています…