金欠だ。財布を逆さに振るってみても出るのは埃ばかり。
最後に依頼をこなしたのはいつだろうか。
……ああ、半年前だ。
他の傭兵たちと一緒にお偉い組織の重役を護衛したのだ。
想定外に報酬が良かったのと、それまでの貯蓄を合わせるとかなりの額になったので、しばらく休業することにしたんだ。

…それで、思う存分なまけたり趣味の骨董品探しにふけって半年。今日ついに夢から覚めたのだった。
おかしいな、あんなにお金あったのに、そこまで使った記憶は…………心当たりは山のようにあった。
ちらりと私の宝の山を見る。不思議な紋様の描かれた机、共鳴するかのような音をあげる振り子時計、金色に輝く豪奢な意匠のタンス。どれもこれもこの半年で仲間入りしたアンティークだ。
仕方ない、仕方ないのだ。骨董品はお金がかかるものだし、特に私が大好きなマジックアイテムを彷彿とさせる物品は飛び抜けて高価だ。
充足を得られたのだから決して後悔なんてしていない。…たぶん。

なんにせよ貯蓄が尽きたからにはまた働かなければならない。
半年のブランクがあるが、まあなんとかなるだろう、うん。
ちょうど今メルンテーゼでは一揆が起こっている最中だ。
傭兵である私が食うに困ることはないだろう。