それがわたしの、《決闘》を終えての正直な感想だった。　
強敵であったと聞く、正規軍の元副長であったブランチマンを打ち倒したという奴等。　
苦戦の予感があった。　

だが、どうだ。　
フタを開けてみれば、後ろに立つわたしとリナリアがほとんど無傷のまま、戦いは終わった。　
楽勝、と言ってもいい。　

それが気に食わない。　

奴等は最初から我々に敵愾心を向けていた。　
恐らく、メルンテーゼの賞金首としての我々についての知識があったのだろう。　
「農場に送ってやる」「お前らみたいな奴は大嫌い」　
各々が表情に憤りをたたえ、そんなようなことを言っていた。　

笑わせてくれる。　
貴様らのような弱者に、何の正義があるというんだ？　
貴様らのような弱者に、何が護れるというんだ？　

正しさとは強さだ。　
わたしの出身世界、トルラルールは法が力となってすべてを司っていた。　
律法騎士とは、法を護るために強くなるのではない。　
法を護っているから、強いのだ。　

我々が強く、それ以外が弱いと言うのなら……。　


言うのなら！

手を差し出し握手に応じる。

不意に左手で耳を押さえる。