（Eno.1149　九の日記の続きです。）



と、いうわけで、森に来たボクたちだけど、
まあ、なんというか、まったくもって、
ただの思いつきだから、なんの準備もしてないわけで……。

「ねえ、九。」
「足痛い。むかつく。」
「あー、うん。ボクは飛んでるから、痛くないけどね。」
「歩きづらい。むかつく。」
「足元悪いもんねー。まあ、ボクは飛んでるから、関係ないけどね。」
「あー、雑草邪魔くさいなあ。うわっ、蜘蛛の巣が顔に！！！〜〜〜！！！」
「あー、それはね、うっとおしいよね。上手によけられるボクは大丈夫だけどね。」

「うがーーー！！！」
九が吠えた。

「さっきからお前は何を言いたいんだあああああ！！！」
九がぴょんぴょん飛びながら文句を言った。
まあ、ボクには手が届かないから大丈夫だけどね。

「いや、歩きづらくないのかなーとか、靴擦れしてないのかなーとか、聞こうと思ったんだけど、
聞く前に答えるから、聞く必要なかったなーって思ってるところ。」
「うがーーー！！！」
また吠えた。

「ほら、大きな樹が好きなんでしょ。登りたいんでしょ。
まだ森に入ったばっかりだよ。先は長いんだから、がんばって。」
「そうはいくかー、大きな樹をみつけるまでは戻らないんだからな！」
「？　うん、登りたいんでしょ？」
「あれ？お前、てっきり戻れっていうのかと思って、先回りしたつもりだったんだけど。」
「ぷぷ。九は変なこと言うね。」

そんなことを言っていたら、背後でガサガサと音がした。

「あー、ごめんごめん。スフィアー、こっちだよー。」

ガサガサ音を立てて、木陰から出てきたのはスフィアじゃなかった。

「虎だね。」
「……。」
「あと、インプ。」
「だけじゃねえよな。あれなんだよ。」
「なんだろう？」

つづく。