―――――――――


―――――――――――――


―――――――り――――――て――――――か


――は――そ――には――が――


もはや――の――ない―――ならば――――することだ



――……………


……………


------------------------------

ぴくり、と猫のみみがうごきました。
それにつづいてゆっくりとまぶたがもちあがり――ようやくめをあけました。


猫はからだにかけられていたもうふをぼうっとみつめました。


なにかのゆめをみていたきがするのですが、それがなんだったのかはおもいだせません。
ただ、なんとなくなつかしかったような、それでいておそろしいようなきもしました。
ですが、ゆめはゆめ。あまりきにしすぎるのもよくないかもしれません。


とりあえずいまは、ゆめのことよりもげんじつのことです。
そういえばししょーはどこにいったのか、というぎもんがうかびました。
ねころがったまましせんだけをまわりにめぐらせます。


しかし、あのたのもしいすがたはあたりにはみあたりません。


もしかして、じぶんはおいていかれたのではないか？
いったんわるいほうにかんがえてしまうと、どうしようもなくなるくらいこころぼそくなってきます。



と、


「お？目ェ覚めたか。具合はどうだ？」


きぎのあいだからししょーがはばたいて、猫のそばにやってきました。

すがたをかくにんしてようやくあんしんした猫はこたえようとして――ふといつもつかっているボードがないのにきがつきました。

猫がこまっていると、


「あァ？書くモンがねェのか。確かあの野郎が持ってたな。
まァいい、それよか休んでろ。」


そういってまたどこかへとんでいったししょー。
こんどはあっというまにもどってきました。


「お目覚めになられましたか。」


つづいてあらわれたのはヒツジのエンブリオ――セバスチャン。
あのときなぜセバスチャンのなまえをあてられたのか、猫じしんもいまだにわかりません。


セバスチャンはよこたわる猫のひたいにしぼったタオルをのせながら、


「体調はいかがですか。大事を取って、今はお休みになられるのがよろしいかと。」


と、やさしくつげてからボードをわたします。

たしかに、まだからだはだるさがのこっておりうごくのはちょっぴりおっくうです。
ふたりのいうとおり、ゆっくりやすんだほうがいいのかもしれません。

そうおもった猫は、ボートにひとことだけおれいをかくと、あらためてもうふにくるまりました。
やがてきこえてくるやすらかなこきゅう。

それをきいてあんしんしたようにししょーとセバスチャンもこうたいでからだをやすめます。
やがてゆっくりとよるがふけていき――

ひんやり感を褒められて満更でもない様子。

ぶんぶんとりょうてをふりまわしてげんきいっぱいのようです。

と書かれたボードをもったまま、しょうりのブイサインをしました。