［基本］OK.　［戦闘］OK.　

病は気から、なんていうけれど……
ここでの生活は厳しい。余裕のなさ、豊かさのなさは人の心を弱めるって。

今でも反省してる。
ディランおじさんは動かなくなってしまった。
フーちゃんは知っていたみたいで、殺してしまおうか、なんて言い出すから、俺は本当にビックリして怒鳴ってしまった。もっと話したかった。

おじさんが出してくれるお肉で飢えは凌いでいるけれど、お野菜が食べたいって思っても、この不毛の地では育つかもわからないし、そもそも食べられる草があるかもわからない。
なにより、生きる以外の事がなくてとっても暇だし、生きることに必死で忙しいんだ。

俺はこの火を生み出す能力を持って産まれた事をとても感謝してる。文明の光は素晴らしい。炎の温もりだ。
ただ、イバラシティに居た時よりも、格段に火力が落ちている事を実感してた。
イバラシティにある土地神から離れてしまって、信仰が薄れてしまったからだと思う。ハザマに居た時のような力はもう失われてしまったけれど、幸いにも能力そのものが剥奪されることはなかった。

これで良かったのかもしれない。
俺は無理をしてた。供物として燃やすものを求め、見定める。強く見て、強く燃やす程、眼が焼きつぶれていく。

何度も眼鏡を変えてもらっていたし、そのうち眼鏡も必要なくなってしまうだろうと感じてた。
でも、信仰が薄れて、戦う理由も消えて、これ以上悪化することはないだろうと思う。

2人には黙っていたけれど、アンジニティでの生活が始まる時に打ち明けた。
ディランおじさんはただ笑っているだけで、フーちゃんは驚いたり悲しんだり怒ったりしたけれど、最後は抱きしめてくれた。

そう、俺の大切なモノは確かにここにある。
だからこれからもフーちゃんと共に暮らそう。
ディランおじさんが起きたら、安心できるように生活を豊かにしよう。

他のイバラシティの仲間もここにいる。
荒野を進もう、口笛でも吹きながら。茨を咲かせて、その道を堂々と歩こう。

俺たちには、まだまだやれる事がある。

特に何もしませんでした。