［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［スキル］OK.　

　結果の通達の後、出来るだけ余計なことを考えないように、出来るだけぼーっとするようにしてたら…「アイツ」が話しかけてきた。
「アイツ」はチームを引っ張っといてしょっぱい結果しか出せなかったあたしを責めるどころか労ってくれた。…まあ、そーゆーヤツだってのは知ってたけど。「こっち」はもちろん、「あっち」でも「事故った」経験から悪いヤツじゃないくらいの認識はあったし。まあキライだけど。
そんな「アイツ」でも「「ここ」での記憶が残るのか」「今から「ここ」で何が出来るのか」については悲観的で、変なところで気が合うみたいだけど…あたしからするとこれはちょっとな、と思ったのが1つ。

「……ま，知ってる連中とかさ，みんな一緒に落とされるってんなら……ちっとはマシかねぇ。」

親を含めて、あたしの昔からの知り合いは「ここ」に呼ばれてないヒトの方が多い。まあ、戦いに向いてないとか、戦えなくもないけど攻撃に向いてないとか、戦いに役立たなくもないけどコストが重いとかそーゆーヒトが多い。音楽仲間には、異能らしい異能がまだ分かってないコもいた。

…そんなヒト達を、あたし達の力不足で巻き込むことになっちゃった。

「…そりゃ、1人で放り込まれるよりはマシかもしんないけどさ…この戦いに直接関わってないヒトが巻き込まれるってのもフクザツ」

「まぁ，わからねーでもねーけどさ。
……何も知らねーまま知り合いだけ消えて残されっちまうってのもさ，ソレはソレでキツいだろ。
俺は……まぁ，巻き込まれる側じゃねーからアレだけどよ，取り残されるよりは，みんなでぶち込まれた方がマシだと思うわ。」

　…確かに、残される側の気持ちまでは気が回ってなかったかな、とは思う。
うちの親はあたしの異能とどう向き合うかで困ってた節が子どもだったあたしに分かるくらいあったとはいえ、流石に愛されてないとかまでは思ってないし。
………ワールドスワップで世界の中での認識が書き替えられたみたいに、あたしの存在丸ごと忘れられるならまた話は変わるかもしれないけど。………あたしとしては、流石にそれはちょっと寂しいな。
まあ、この辺のアレコレは住民が「丸ごと」入れ替わるって明言されてる以上起こらないことだし気にしたって何にもなんないんだけど。

　もう1つ「アイツ」と考えが合ったのは、「アンジニティ」はろくなトコじゃないだろうってこと。「あっち側」のモチベーション見ると、望みは大分薄い。
「アイツ」が匿われてる宗教団体？には「あっち側」の「裏切り者」がいるみたいで色々勝手は分かるだろーし、慈善活動のノウハウもあるんだろーからワールドスワップ後にみんなが身を寄せ合って生きる時の「核」の1つとして頑張れる可能性はかなりあるんだと思う。しょせんエセ神父の「アイツ」がどこまで出来るのかは分かんないけど。

　………あたし自身は、宗教っていうか神様っていうか、そーゆーのあんまり好きじゃない。
慈善事業とかそーゆーのは尊いことだと思うしムリのない範囲で協力出来たらくらいは思うけど、そこに「上から」の存在が出来ちゃうと、何ていうか気持ちがスーッ…って引いちゃうんだよね。だから何？みたいな。あと、信仰での救いって「悔い改めたい犯罪者」とか「どうしようもなく追い込まれたヒト」には大きくてもあたしみたいな「フツーのヒト」には大して意味ないよなーってのもあるし。
まあ、もしワールドスワップ後も大事なヒト達と一緒に行動出来るようになったとしたら、あたしのワガママでそのヒト達の生存とか平穏を脅かしちゃいけないくらいの分別はあるつもりだけど。

「……こんなコト聞くのもアレだけどよ，クソみてーな世界でさ，やべー時に頼れる相手とか，居るのか？」

なんて「アイツ」に聞かれたけど。
「エセ神父」に、「嫌いなヤツ」にこの段階でわざわざ答えたくはないよね。弱みを見せるのも、気持ちの話に踏み込まれるのもイヤだもん。

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