［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

文章の最後にピリオドを打つように。
どんな噺にも、最後はあるものです。

今思えば、あの36時間の出来事は二年ぐらい続いたような……そんな長い時間のように思えます。
具体的には1年と9か月ぐらい。

怪異の僕は、怪異のままで。
生者の君は、生者のままで。
そんな、36時間の出来事でした。

怪異と生者が一緒に居る事は、まず無いもので。

鶴の恩返しでは、鶴が去るように。
人魚姫では、人魚が泡に消えるかのように。

別れというものは、どこかであるものです。

だって、存在できる時間が違うから。

怪異は、畏れさえあればいつまでも存在できます。
人が畏れを忘れた瞬間に、怪異は存在できなくなります。

それが、怪異の死。

そう、怪異は簡単に死ぬ事ができないのです。

だから、生者と一緒に死ぬ事ができない。
だから、いつか別れがやってきてしまう。




いつかの僕は、自らの死を望んでいた気がします。
この身体は、自分で自分を殺す事が出来なかったから。

でも、今は怪異で良かったと……初めて思ったのかもしれません。







皆さんは、「前世」というものをご存知でしょうか。

死んだ魂が、新たな生を受けた時。
ごく稀に、前の生の事を部分的に思い出す事があります。




だから、また思い出してくれるか――なんていうのは、流石に贅沢かな。




ああ、全部嘘だ。

この魂が、こんな嘘くさい怪異とまた友達になってくれるかなんて、どこにも保障は無いのに。
それでも、また会いに来てしまったなんて。




笑顔で装っていても、不安と恐怖で胸が張り裂けそうになる。
拒絶されたら、僕はどうなるんだろう。

今、目の前に居る人は――僕から逃げる事も、僕を殺す事も出来るのだから。




怪異にとって、名前は重要。
それは、前世の貴方にはもうお伝えしたと思います。

もう、その時点で僕の命は握られてるのと同じ。

でも、何故だろう。

今回も、また、僕は死ぬ事は無いんじゃないかって。そう思うんですよね。









欠けては満ちる月のように。
人の心も、生き方も、形を変えていく。

でも、君の姿が幽かに見えるようで――

特に何もしませんでした。