［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　

そう遠くはない未来。
ここではないどこかにて。
「――という訳で、アンジニティサイドが勝利をおさめ、
　色々揺れているみたいね。
　今後どうするかは少し考えた方がいいのではないかしら？」
報告書を片手にセーラー服の女性が、
机の上に座って言う。
そんな女性に対し、
たしなめたり不機嫌になってもよさそうなものだが、
高そうな椅子に座った初老の男性は静かに、
「――撤収するもよし、
　維持するもよし、
　あえて逆に交流を深めるもよし…
　悩ましい所だね。
　でも、時間はまだある。
　実際に他がどう動くのか、
　それを静観してみてからでも遅くはない。
　……分かっているんだろう？」
試さないでもらいたい、少し苦笑しながら返す。
立場としては初老の男の方が上だというのに、
セーラー服を着た、
いまだ２０にも満たない女性に頭が上がらないらしい。
「――慎重ね。
　ここで即断即決したらちょっと面白いかと思ったけど、
　その通り、
　今現時点で判断する事ではないわね。
　でも、今のうちに覚悟と、用意だけはしておかないと……
　気づいたら手遅れになるかもしれないわよ？
　その辺りは大丈夫なのかしら？」
そんな応対にクスクスと悪戯めいた笑みを浮かべながら、
からかうように女はいう。
「指示は出してある、
　後は現場の対応にまかせるとも。
　……最も、君は言われないとやらないだろうが……
　それを言うのは私の役目ではない事は確かだね。
　全ては任せてあるさ。
　それで――」
「面白いと思ったら私は動くけど、
　まぁ、今はそれどころじゃないから……
　その時次第かしらね。
　それじゃ、とりあえず報告はしたから。」
それだけ聞ければ十分とばかりに男の言葉をさえぎって、
いいたいことだけいって女は気づけばとするりと部屋から立ち去っていく。
そんな様子に男は苦笑し――
「――言わせてくれてもいいのに。
　さて、少しあわただしくなりそうだが、
　……精々、損をしないようにはしたいものだね。」
首を振りながらどこか面白そうに独り言をいって、
普段の業務に戻るのだった。

――同じく少しだけ未来の話。
映美莉は――
「……どうしたものか……」
一人、アンジニティで困っていた。
とりあえず最低限の身の回りのものと、
血液パックを大量に持っている。
こんな世界に放り出されてしまっても、
これだけあれば生きていけるわけだが……
映美莉は一つ忘れ物をしていた。
それは――
「……キャンプセットというか、
　緊急用の避難セットを忘れた……
　無くても困らないといえば……
　いや、困るかはどうだろうか？
　……困るな。
　無くても生きてはいけるけど、
　色々便利なものが入っていたのに……！」
どうして忘れてしまったのか、悔やむ映美莉である。
ま、それでも、こうして生きているし、
異能を失った訳ではない。
様々な異能をもったものもいる。
その中には、
この世界から抜け出す術をもつものもいれば、
この世界の環境を整える者もいるだろう。
ゼロではなくマイナスからのスタートにはなるが……
希望を捨てるには早すぎる。
それに――
「……ま、こうなってしまっては仕方ないが、
　また肩を並べるのも悪くはない。
　そうは思わないか？」
――映美莉は一人ではない。
少なくとも――また相棒と肩を並べることはできるのだから。

ENo.223 兎乃 とのやりとり

特に何もしませんでした。