
長い長い追憶の末、チャコール・タールは目を開いた。
 |
チャコール 「禍福の暁星。それは俺の助手、ニコちんの事だ。」 |
 |
ジッポー警部 「やや!なんと!あの<お嬢さん>が、禍福の暁星?」 |
 |
チャコール 「ああ、そう呼ばれている。だからこれは、誘拐の予告だよ。」 |
 |
ジッポー警部 「やや!?ややや!?なんと大胆不敵なァ!! チャコール殿、これは今すぐお嬢さんと合流せねばなりませんなァ!!!」 |
 |
チャコール 「そうだな…と言いたいところなんだが…」 |
探偵の表情に、苦渋が滲む。
 |
チャコール 「…俺も遂に、焼きが回っちまったか…」 |
ぐらり、と探偵の長身がふらつく。
 |
ジッポー警部 「…チャコール殿?」 |
警部が心配そうな声をかけたのも、束の間。
探偵が、その膝を地面についた。
 |
ジッポー警部 「チャコール殿!!どうしたのでありますかァ!?」 |
慌てて警部が探偵の顔を覗き込もうと、身を屈めると、ふと、何やら焦げるような匂いがすることに気がついた。
 |
チャコール 「目が…熱…いッ…!!!!!」 |
 |
ジッポー警部 「な…何でありますか…これは…!?」 |
警部が目にしたのは、あまりに異様な光景だった。
探偵の両の瞳が、烈日の如く眩く輝き、その身を黒く焦がしていたのだ。
 |
チャコール 「あ、あああ、あああああああッ………!!!!!」 |
苦悶の声が、赤い地を這った。
その様子を、近くのビルの屋上で見ている怪しき影が当たった。
奇妙な仮面で顔を隠し、紳士めいた衣装で身を包む、謎の怪人の姿が。
 |
怪人メンソール 「ああ、やはり、こうなってしまいましたか…」 |
怪人ーーーーーー怪人Menthol20mgは、どこか物悲しげな声で呟いた。
一方、アライ区。
その赤い海岸線を走る、一人の少年がいた。
 |
ニコ 「もう…先生、どこにいるっスか…?」 |
少年ーーーーーーニコは疲れ果て、膝に手をついて息を切らしていた。
すると、背後から涼しげな声をかけられた。
 |
美しい女性 「あら?あなた、探偵さんの助手さん?」 |
振り向くと、そこにいたのは、チャコールの事務所の家主である、見知った顔の女性だった。
 |
ニコ 「あ、あれ?セーラム夫人?あなたもこちらに来ていたっスか!?」 |
 |
セーラム夫人 「そんなに急いで、どうなされたのかしら?」 |
 |
ニコ 「あ、あの、実は先生とはぐれてしまったっス…」 |
 |
セーラム夫人 「あら、そうなの?わたくし、先ほど探偵さんにお会いしましたわ?」 |
 |
ニコ 「ほんとっスか!?どこで会ったっスか!?」 |
 |
セーラム夫人 「あちらですわ。」 |
 |
ニコ 「ありがとうございます!早速向かうっス!」 |
そう言い、夫人の隣をすれ違おうとした助手だったが、突如その腰を抱え上げられてしまった。
 |
ニコ 「わ、わあ!?何をするっスか、セーラム夫人…!?」 |
自分を抱え上げたであろう夫人の顔を見ると。
 |
怪人メンソール 「さあ、小生と一緒に、探偵さんに会いに行きましょう、星の瞳の助手さん?」 |
そこにあったのは、奇怪な仮面。
探偵の好敵手たる怪人の姿が、そこにあったのだ。

[792 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[433 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[464 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[201 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[399 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[326 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[267 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[197 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[117 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[147 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[152 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[100 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[310 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
[49 / 400] ―― 《黒い水》影響力奪取
[225 / 400] ―― 《源泉》鋭い眼光
[106 / 300] ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
[110 / 200] ―― 《図書館》蜂のように刺し
[112 / 200] ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
[56 / 200] ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
[88 / 100] ―― 《珈琲店》反転攻勢
[100 / 100] ―― 《屋台》更なる加護
[81 / 100] ―― 《苺畑》不安定性
[16 / 100] ―― 《荒波》強き壁
[100 / 100] ―― 《小集落》猛襲
[45 / 100] ―― 《落書き壁》リアクト
[92 / 100] ―― 《変な像》揺らぎ
[100 / 100] ―― 《白い渦》不幸
[100 / 100] ―― 《黒い渦》不運
[21 / 100] ―― 《線路》駆逐
―― Cross+Roseに映し出される。
星空が映る。
微かな波音と共に、弦楽器の優しい音色。
星空のなかに、黒い裂け目。
その裂け目にいくつもの小さな光の玉が吸い込まれてゆく。
 |
声 「・・・悪戯好きの彼らにも、この世界の改変はできなかったようだね。」 |
 |
声 「それじゃ、私もそろそろ次の世界へ・・・」 |
チャットが閉じられる――