［基本］OK.　［戦闘］OK.　

【誰が為のその力】

あの男を……アルキメンデスを殺す。
それがアナとざりおの使命だと、彼は言った。
たしかにあの男は危険だ。理性の欠片もなく、目につくものに襲い掛かる猛獣のようなあの姿。
でもあの時、アルキメンデスは……、

「"博士"と俺は異世界の調査をしていまして。その過程であの男の存在を知りました。
　どうやら彼は、様々な異世界を渡り歩いてきたようで……」

大森さんは話を進める。

「"博士"は彼に興味を持ち、観察対象としました。頻繁に世界を飛び出すもので、追跡が大変だったんですがね。
　それで分かったのは、勇者を自称することと、己が"悪"と判断したものは必ず殺す。彼は非常に独善的な思想を持つ男ということです」

「それで勇者か、とんだ思い上がり野郎だな」

ざりおはそう吐き捨てた。勇者の名のもとに殺戮を繰り返す、ただの殺人鬼じゃないか。

「一度見失ってしまい、なんとかアンジニティで見つけたのですが。彼の身体には既に異変が現れていました」

「あの黒い陰か？」

大森さんは深くうなずく。

「ええ、あれが何なのかはわかりませんが、アルキメンデスの体を侵食しているようで。　それが非常に膨大なエネルギーの集合体であると、"博士"は突き止めました。
　アルキメンデスはあまりにも大きく、危険な力を内に秘めています。
　それがもう、暴走を始めている。力が増幅し続けています。いずれは世界1つを喰らい尽くすような存在になるだろう、
　……と、"博士"は分析しました」

そこまで言い、ため息をひとつ。

「そんなやつが野放しにされていては、俺たちとしても困ります」

ざりおはお疲れ、とねぎらいつつ、疑問を問いかける。

「アルキメンデスのことは分かったけどさ、なんで俺たちなんだ？」

「適正ですね。　あなた方は、"博士"が作ったチェンジャーと波長が合っていましたので」

「……そうか。じゃあ、俺がここにいるのも……」

「お察しの通りで。
　申し訳ないとは思っていますが、俺の意思ではなく"博士"のご判断ですので」

「なんなんだよ博士ってやつは……」

「お答えできません」

即答だ。

「ああ分かってるよ、独り言」

「まあ、俺はあの案内役とかいう二人みたいなものですよ」

「……わ、わたしにも、ですか？」

そこまで黙っていたアナが、恐る恐る口を開いた。

「ざりおは、わか、わかるけど……わたしに、適正なんて……」

「変身したじゃないですか。　俺も"博士"も試しましたが、変身はできませんでした。　最大限の力を引き出せる者にしか反応しないんですよ、それは」

「そ、そうなんですか、……」

「ええ。ざりおさんを助けるときにすごいパワーを出したでしょう？」

そういえば、そうだ。あのジャンプ力、普段のアナでは到底出せるものではない。

「……あ、はい、……あれも、マジカルチェンジャーの……」

「いえ、違います」

「え？」

「いや訂正、まあ半分はそうなんですが……。あれは、アナさん自身の力です」

「え、……ええ？」

アナは困惑している。自分にそんな力なんて、あるわけが……。

「信じられないかもしれませんがね、あれがあなたの異能の本質なんですよ」

少女の困惑は広がるばかりだ。自分の異能の本質などと言われても……。

「アナさんの異能は、"エモート・ブライトネス"と名付けられました。　己の感情をエネルギーに変換する異能です」

「で、でも、髪が光るだけ……」

「ええ、これまでは。まだ力を出し切れていなかったんです。
　ですがマジカルチェンジャーと今回の経験によって、その力が開花されました。
　ざりおさんを助けたときの感覚は覚えていますか？」

アナは目を閉じ、考える。
あの時の自分は、明らかの普段の自分ではなく……

「……なんか、えっと、すごくて、体から、力が……」

大森さんは頷き、続ける。

「あのとき、アナさんはざりおさんを助けなければ、ということのみを強く、強く考えた…それも瞬間的に。その咄嗟の想いが、マジカルチェンジャーを介して異能に反映された結果です」

「なるほどな」

ざりおはアナに向き直り。

「誰かがピンチのとき、助けを求めるとき、頭で考えるより先に、勝手に体が動いている。
　それが本来のアナなんだろうよ。人の本質ってのは咄嗟の時にこそ出るものさ」

そう言って、ハサミで脚をぽんと叩く。
彼女には、まったく実感がわかないが……。

「あ、あの、」

「はいなんでしょう」

指をせわしなく動かし、おずおずと、言葉を続ける。

「あの、えっと、あの人を、殺す、のは、その……」

「まあ、人殺しですからね。気持ちは分かりますが……」

「そう、じゃなくて、えっと、……あの人、助けを求めてた……気がする……んです」

「ふむ、アルキメンデスの声を聞いたと」

大森さんは眉を細める。

「はい、……あの、ちょっと一瞬だけ、触れたんですけど、体に」

一呼吸おいて

「……その時、なんか、声が聞こえて、頭に……」

組んだ指をせわしなく動かすまま、俯きがちにそう話す。

「俺の知る限り、彼はとっくに理性を失っていますがね。　心の声、とかいうやつですか」

「た、たぶん、はい、わからない、ですけど、……助けを求める声がした、んです、……」

「ふうむ、エモブラの解析ではそんな能力検出されませんでしたが……」

「で、どうしたいんだ？」

ざりおが問う。

「えっと、あの、……だから、……殺したり、するのは……、……」

「……助けを求めるならば助けたい、ってことか」

「……う、うん……」

「ま、暴走してるってんならかなりの苦しみなのかもな。
　……だが賛同はできないな。あいつが脅威ってんなら、俺は芽を切っとくべきだと思う」

それはそうだ。この提案は完全に自分のわがまま。殺人鬼を助けるなんて、通るはず……

「でもま、俺はアナの心を尊重するよ。苦しんでる人がいるってんなら、それを助けるのがヒーローだ。そうだろ？」

その言葉に、パッと顔を上げる。

「……あ、う、うん、ありがと、……」

「だがどうにもならないと判断すれば、俺はあいつを殺す。それは変わらないからな」

「……うん。分かった」

「なるほど、なるほど。お二人ならそうなりますか」
　大森さんは腕を組み、目を閉じて、……ニ、と口角を釣り上げる。

「……まあ実のところ、手段はなんでもいいんです。　アルキメンデスの暴走を止めるという結果が得られれば」

「ただ、彼は多くの命を奪った大罪人。それは忘れないでくださいね」

「ああ、ことが済んだらあんたに引き渡せばいいか？」

「まあ、そんな感じで。死体でも生体でもかまいません、俺は」
　そう言って、肩をすくめた。

特に何もしませんでした。

サカエホタル(311) とカードを交換しました！

炎方呪術・恨 （ファイアプレデター）


◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

アナ(554) は トネリコ を入手！
アナ(554) は 桃色の果実 を入手！

チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
体調が全回復しました！

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［436 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［482 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［402 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［328 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［265 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［149 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［311 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［47 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［224 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［94 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［104 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［84 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［13 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［37 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［76 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［71 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［15 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。