
*大井真海 30回目日記*
[盾に何かされたようですが、とりあえず違和感は無し、と。
まぁ、今更何かこちらに害のある事を仕掛けてくるとは思っていませんが。
一応は確認しておかないと怖いですし。
あとは……お人好しが、やたらとコストの事を気にしていましたからね。
その辺何か、探りは入れられているのでしょう。分かりませんけど。
削るものが無いわけではないのは、どうせいずれ分かってしまう事でしたし……。
えぇ、私は死
ねにません。
この身体は、何をどうやった所で、死を得る事は
叶いありません。
……正しくは1つだけ、「終わり」にする手段はあるのですが。
現在は実行できないので、無いのと一緒です。
だから、支払うものなんて気にしなくていいんですけどね。
減らない物を支払ったところで、それは消費したとは言えないでしょう。
――"貴方は何処に居たいですか?"
何なのだろう、と、思って、いました。
これだけ何というか、随分と違和感がありましたから。
意味も理由も意図も結果も分からず、ただそこにあって、何も変化が起こりませんでしたから。
……深緑色の髪に赤い瞳。赤い服を着た小さな女の子。
正直。まさかの、ですね……。
お陰で理解が追い付きません。が……嘘は、無いでしょう。
呪い、と評したのも。
終わらせたい、と言ったのも。
恐らく。……足掻き、というのも。
であるなら。少なくとも、この『戦争』において。
何か意味の、それなり以上に大きな意味のある問いだった、と言う事に、なるのでしょう。
――"貴方は何処に居たいですか?"
提示された選択肢は5つ。
「分からない/定まらない」「イバラシティ」「アンジニティ」「ハザマ」「何処でもない」
意味があったとして、それは分かりません。
或いはこの『戦争』の終わりに分かるのかもしれませんが。
……私はイバラシティの、本来の住人ではありません。
同時に、アンジニティに送られた者でもありません。
そして争いは、戦いは、こりごりです。
……――"貴方は何処に居たいですか?"
決まっています。
……決まっているんです。
この『戦争』などに関係なく。イバラシティにも、アンジニティにも、関係なく。
私は ]
*“魔術師” 30回目日記*
[うーん。
土壌の具現化と転送、協力者への探り入れとその結果、忙しいには忙しい、が。
さてどれから手を付けたもんか。
まぁ土壌の具現化と転送は向こうの反応待ち、っつか、向こう次第だから今んとこ出来る事は無いな。
で、協力者への探り入れとその結果だが……。
これはまぁ、上手くいって良かったっつか、思ってたのの斜め上に捻りが入って困惑してるっつか。
どうしたもんかなこれ…………。
いや一番アレなのは協力者はこのコストの事分かってて普通にしてるって事なんだけどな?
まず、吸収も供給も、無い。良いっちゃ良いんだが、悪いっちゃ悪い知らせだ。
自己完結してると言うか、協力者が持ってる中で済んでるって事だし。
護りが邪魔になってないのは朗報。効果が発揮されてないってのは凶報だな。
つまり使ってねぇって事だし。まぁ外部からのあれこれについては多少発動してるようだが。
回復力関係の底上げは純粋に利いてる。これは良い知らせだな。
そんだけ色々消費してるって事でもあるが。
力の動きの観測と補助は……これ、効いてるか? そもそもの流れが特殊っぽいな?
遠隔で操作できるようにしといて良かったな。こまめな調整がいるとか思ってなかったっつの。
んっで。
消費してるもんの確認と、補填だが。
……補填、一切できてねぇんだよなぁ。
――がっつり寿命を削ってるとか聞いてねぇぞ、協力者。
あーそうだな。言う訳がねぇよな?
おれの事をお人好しだと思ってるみたいだが協力者も大概だからな?
おかしいと思ったんだよ。単に疲れだけであんな大技が撃てる訳がねぇっつーんだ!
ほとんど不発になってるから単に寿命が削れてるだけじゃねぇか! アホか!?
いやそうだな死にたがりだったな! それも無意識無自覚の!
協力者自身は平然と「死ぬつもりは無い」っつってるしそこに嘘は無いもんなぁ!!
壊れてるのを辛うじて表面上だけでも正気に留めてる弊害がこんな形ででるとか分かるかよ!?
……幸い、というべきか。
削れるのは1回につき、多くても1ヶ月程度ってとこみたいだな。
威力が落ちてるのも本当らしいし、それに応じてコストも下がってるみたいだし。
確かにあれが全部当たったら、コスト的には安い方になるんだろう。
乱発さえさせなきゃ大丈夫だ。……本来は1発でも撃たせない方が良いのは分かってるんだが。
――"貴方は何処に居たいですか?"
ぶっちゃけ協力者に丸投げしてたから、おれは関知していない。
大体分かるが、おれは基本ノータッチだ。
……だから、まぁ。そうくるかー……というのが本音だな。
分身、って言い切ったのと、それ以外の言葉から、まぁ確定で良いだろう。
チャットに出て来たって事は、どっかに居るってのもかなり可能性が高くなった。
マッドスマイル、だったか。あいつも今頃どこかを走り回ってんのかね。探してるっつってたし。
――"貴方は何処に居たいですか?"
その問いに対する回答の権利は、丸投げする事で失われた。少なくともおれはそう認識している。
それでなくても自ら全てを放り出して逃げて来てるんだ。家出で何も間違ってない。
だから。居たい場所を問われた所で、答える権利なんか無いんだよ。
何せ自らその権利を放り捨てた後なんだから。今更望める訳が無いだろ? 調子がいいにも程がある。
やる気が無いのは元からだ。
……おれは、おれっていう存在そのものが大事なものを壊す、それが怖くて逃げて来たんだから。
協力者の事を言えねぇな。おれも大概おれが嫌いだ。
死という終わりを選ぶことは無くても、実質それに近い選択をする程度には。
……――"貴方は何処に居たいですか?"
さぁな。
自分の望みを叶えるより、周りの望みを邪魔しない事の方が優先だ。
ついついと自分を削って捧げる癖はマシになったと思ってたが、どうやら生来の性質ってのはなかなか変えられないもんらしい。
全く協力者の事を言えねぇもんだ。類は友を呼ぶってか?
あぁだが、そうだな。
それでも強いて言うのであれば、おれは ]
"貴方は何処に居たいですか?"
――「何処でもない」
何処にも居たくなんてない
元の世界に帰りたい
何も壊れない「家」に帰りたい
何処でも無い場所がいい

[807 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[438 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[477 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[198 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[406 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[326 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[265 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[191 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[116 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[145 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[149 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[100 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[307 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
[47 / 400] ―― 《黒い水》影響力奪取
[210 / 400] ―― 《源泉》鋭い眼光
[92 / 300] ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
[106 / 200] ―― 《図書館》蜂のように刺し
[96 / 200] ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
[46 / 200] ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
[81 / 100] ―― 《珈琲店》反転攻勢
[100 / 100] ―― 《屋台》更なる加護
[71 / 100] ―― 《苺畑》不安定性
[11 / 100] ―― 《荒波》強き壁
[100 / 100] ―― 《小集落》猛襲
[24 / 100] ―― 《落書き壁》リアクト
[54 / 100] ―― 《変な像》揺らぎ
[10 / 100] ―― 《白い渦》不幸
[100 / 100] ―― 《黒い渦》不運
―― Cross+Roseに映し出される。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「貴方は、何処に居たいですか? ・・・ねぇ。」 |
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エディアン 「早くお家に帰りたいです私は。貴方は違うんですか?」 |
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白南海 「俺はそうですがね。そうでない奴もいるだろうな、とね。」 |
ヴゥ・・・ン・・・・・
チャット画面に何かが新たに映し出される。
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エディアン 「今度は何です・・・?」 |
『次のワールドスワップのロスト候補者は53名。
――必要数を達成。次の発動が決定されました。』
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白南海 「・・・なんだこりゃ。」 |
少女
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少女 「決まっちゃいましたね。」 |
少女が現れる。
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エディアン 「え、アダムス・・・!?」 |
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少女 「はい。a・d・a・r・n・s、一部繋げて・・・アダムスという名称になっています。」 |
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白南海 「おいおい・・・・・待て待て、わけわかんねぇぞ。」 |
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少女 「おふたりとも、ご案内役ありがとうございました。 ワールドスワップの都合いる必要はあるようですが恐らくこの先、最後まで案内は要りません。」 |
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エディアン 「あら、そうなんですか?」 |
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白南海 「やっと解雇かよ。」 |
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少女 「そして、私の試作・・・・・ いえ、マッドスマイルさん。」 |
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少女 「ありがとう。でも今回はもう無理、次のワールドスワップで会えたら嬉しい。 そのときこそ、私を壊してほしい。無くしてほしい。」 |
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少女 「私も・・・伝え方を他に考えたい。 次こそは巻き込まれる人が少ないといいわね。そうでないと・・・私の希望もないわ。」 |
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少女 「そして今見ている皆さん。私の意思ではないけれど・・・巻き込んでごめんなさい。 ・・・・・とても言い訳にはならないけれど。」 |
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少女 「それでは、さようなら。 せめてこの果てに少しでも多くの幸せがありますように・・・」 |
チャットから消えるアダムス。
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エディアン 「行ってしまいましたね・・・・・」 |
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エディアン 「さて・・・・・どうしましょうねぇ。」 |
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白南海 「解雇だろ?もう自由にやらせてもらいますよ。」 |
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白南海 「よっしゃ!団子でも食ってくるかー。」 |
白南海もチャットから消える。
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エディアン 「・・・・・ふっしぜんな笑顔だこと。」 |
チャットが閉じられる――