［基本］OK.　［戦闘］OK.　

「……崩れてる。」

　天井が崩れ落ちた建物を、舞華は何の感慨も無さそうに見上げる。
　水族館だ。
　大量の海水を支えていた分厚いアクリル板はその形を留めていて、中にこんこんと雨水らしき水を湛えていたけれど、瓦礫が入り込んでいるから、飲用には適さないだろう。
　向こう側で見た、美しさは毛ほども感じられず、ただ退廃だけがその場を支配していた。

「小さい水槽は全部、壊れてしまってますね……。」

　小物を展示していた水槽を見やる。クラゲを展示するための半球状の水槽や、小魚を展示していたかご付きの水槽は全て割れるか、擦り傷で透明感を失っている。
　そういえば、1-5の皆と見に来た時は、何か展示をやっていた気がする。そんな気配はどこにも無いけれど。

　想像するなら、たぶん。この空間の時間は、それより前の時間なのだろう。私も体は以前の――中学3年の身体のままなのだから。
　向こうでの私は、大分落ち着きを取り戻していたようだ。こちらの私は……実際にはそんなに時間は経っていないだろうけれど、"昔"の経験を含めて、精神的には大分老成してきてしまっている。

「さてと、様子も見終わったことですし、そろそろ姉さんの所へ……」

　そうやって、タクシーを呼ぼうと外に出たところで。

「――――舞華！！」

　私を呼び止める、声が聞こえた。

---

「姉さん？……怪我、治ってないじゃないですか。どうして来たんですか？」

「……こっちのセリフ。どうして勝手にキャンプを出たの。」

「……先に行っておけば、姉さんの手間と負担を減らせると思ったからですよ。ほら、水族館。――崩れて、中はなんにもありませんでした。ただ、時間はこっちに飛ばされて来てからの時間で止まっているみたいです。」

　私の声に答える妹の口調は、イバラシティと――ここに初めて来た時と対して変わっていない。しかし、決定的に感じる違いが、もう彼女が"舞華"だけでは無くなっているのだと、分かってしまう。

「舞……"どこまで思い出したの？"」

「……ああ、やっぱり"姉さん"もそうなんですね。不思議な感覚。元は一人の記憶なのに……色濃く残ってる場所で、こうまで違うなんて。」

　おそらく、全てであろう事は、容易に想像できた。
　思い出してほしく無かった。舞華は舞華のままでいてほしかった。向こうでは記憶が無いにせよ、こちらでも妹のままでいてほしかった。

「そう、悲しい顔をしないで下さい。"前"とは違って、今度はきちんと、姉妹でいられるんですから。舞華ですよ、私は。」

　そう、かもしれない。だけど、妹は妹で、だから、私が前に立って守ってやらなくっちゃって。そう思って。

「だったら。」

　だから。

「だったら、後ろで守られててよ。傷つかないでよ。気が付かないと思ってたの。その傷はどうしたの。どうして記憶は戻っているの。」

　我儘だ。しかも、イバラシティで一度、さんざん自分に投げつけられた言葉だ。

「姉さん……？」

「"昔"の罪を全部押し付けて、のうのうと暮らして……ワールドスワップが無かったら、それを知ることだってできなかった。
　我儘だよ。私のちっぽけな罪悪感からくる我儘だよ。でも、だからこそ、妹のままでいてよ。もう、"焼華"の罪を、思い出さないでよ！！」

　"昔"の名前だ。華は焼け落ちて、見渡す限り荒野が広がっている。そういう名前だ。
　でも、今は違う。もう、荒野には華が咲きほこって、花びらが舞って良いはずだ。もし炎が近づいてきても、私が全て吹き飛ばしてやる。
　そう、思っていたのに。

「――だって。」

　私の声を、拳を握りしめながら聞いていた舞華が、口を挟む。

「だって、あのまま戦ってたら、姉さんが死んでしまう！それに、"焼華"になってしまう！
　気づいてなかったと思いますか……！？手当、したんですよ。怪我がいっぱい、私から見えない場所に、深いキズも浅い傷も！
　それに姉さん、笑ってました。私の後輩と知っても、闘うのを躊躇わずに、――それどころか、楽しそうに、目を鈍く輝かせて……！」

　自分の中の嗜虐心――それは、イバラシティにいた頃からあったものだ。由来は"焼華"にあったものだと気づいたのは、こちらに来てからだけど。

「姉さんは――"焼華"の、私の罪があっちゃいけないんです。姉さんは、姉さんのままでいてほしいんです。
私は、どうだって良い。元々こう、なんですから。だから、姉さんは――！！」

　どちらも共通して主張したい事は、傷ついてほしくない事。そして"焼華"の罪を、互いに背負ってほしくないと思っている事。
　譲れない物があって、だからこそ、口論は平行線になって、いつまでも続いている。
　そんな時に限って、ナレハテ共は襲い来るのだ。

ENo.17 サクマ とのやりとり

ItemNo.7 綺麗な焼き画 を破棄しました。
ItemNo.36 毒液 を破棄しました。

ItemNo.3 ジャーキー を使用しました！
　魔香のため、体調は回復しなかった。
　今回の全戦闘において 増幅20 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

ミーシャ(1059) とカードを交換しました！

ミーシャ・クワシール （クワシール）


クリエイト：キャノン を研究しました！（深度0⇒1）
クリエイト：キャノン を研究しました！（深度1⇒2）
ブレイドフォーム を研究しました！（深度0⇒1）
サイケデリア を研究しました！（深度0⇒1）
サイケデリア を研究しました！（深度1⇒2）

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

舞華(125) は 梨 を入手！
舞華(125) は 錆びた刃 を入手！

アライ区 P-15（森林）に移動！（体調17⇒16）
アライ区 P-14（森林）に移動！（体調16⇒15）
アライ区 Q-14（道路）に移動！（体調15⇒14）
アライ区 R-14（草原）に移動！（体調14⇒13）
チナミ区 D-2（ベースキャンプ）に戻りました！
体調が全回復しました！

『アライ区 F-12：チェックポイント《赤い灯火》』へ採集に向かうことにしました！

MISSION!!
アライ区 R-14：シーワールドアライ が発生！
　　 - 舞華(125) が経由した アライ区 R-14：シーワールドアライ

［817 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［442 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［479 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［200 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［408 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［327 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［265 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［192 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［111 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［145 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［145 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［304 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［41 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［208 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［92 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［104 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［96 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［80 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［62 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［9 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［24 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［45 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［2 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［88 / 100］ ―― 《黒い渦》不運



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

ザザッ――

　








少女がつぶやく。

　

　

　





雑音で声がかき消える。

　

　

　





　

　

　




　

　

　

チャットが閉じられる――

シーワールドアライ。

天井のみが不自然に崩れている。

　

その上空、何かが浮かんでいる。



　

サメがこちらに突撃してくる！