【ザリガニの生態について 1】
生い茂る木々、虫の声。
どこまでも続く闇の森を進む。
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ざりお 「ふー、戦えはするけどくたびれるなあ……」 |
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アナ 「ザリガイザー……っていうのにも変身できないしね……」 |
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ざりお 「まあそれはそうだがな。 おれはザリガニだ。この姿だからこそできることもある。 今新しい必殺技を特訓中だしな」 |
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アナ 「そうなの?」 |
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ざりお 「うん、そもそもザリガニの生態についてだがね……」 |
ざりおが得意げにハサミを掲げた刹那、生ぬるい風が空を斬った。
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ざりお 「なんだ?」 |
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男 「…………」 |
見ると、闇の中に誰かが立っている。
右手に剣、左手に盾。典型的な剣士の男だ。
だが様子がおかしい。左目は真っ赤に染まり、黒い液体のようなものが溢れ出ている。
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ざりお 「お前……はアンジニティか?」 |
男は答えない……剣を構えて襲い掛かってきた!
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アナ 「ひっ!?」 |
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ざりお 「ッ!」 |
ハサミを剣の側面に滑らせ、受け流した。
男がよろめく。
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ざりお 「こいつやばい!!逃げろアナ!!」 |
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アナ 「で、でも……」 |
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ざりお 「バカ! お前を守るために着いてきてんだよおれは!」 |
アナは困惑しながらもその場を離れた。
ざりおは彼女が逃げた道を背に、男をにらみつける。
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ざりお 「おい質問に答えろ! 誰だお前!」 |
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男 「グルウウゥアァァ……!」 |
返ってきたのは呻き声……いや、咆哮だろうか?
いくつもの断末魔が混じり合うような、地獄の底から響くような不気味な声。
……どうも話の通じる相手ではなさそうだ。
男を見据え、両ハサミを高く掲げる。
ザリガニ特有の威嚇のポーズである。
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ざりお 「へへ、変身してないけど名乗っちゃうぜ。 おれは紅殻戦士ザリガイザー! 覚えときな!」 |
最も、現状はザリガニの姿でしかないのだが。
これは見栄、己を鼓舞する言葉だ。
そう名乗る間にも迫る斬撃。
切っ先をひょいと避け、男の背後の木に飛び移った。
男は踏ん張り踵を返し、木の枝めがけて跳びかかる。
ざりおはまた別の木へ飛び移る。刹那、枝は両断される。
男が木の枝を蹴り飛ばし、迫りくるそれをハサミで弾く。
関節が軋む衝撃に顔を歪ませる。ものすごいパワーだ。
その間にも男は体勢を立て直し、ざりおを見遣る。
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ざりお 「やばいなこりゃ……」 |
反応速度もさることながら、一瞬一瞬の状況変化に的確に対処している。まるで獣のような五感の持ち主だ。
ここは夜の森、隠れながらかく乱できると思っていたが……。
ざりおが思考する間にも、男は剣を構え向かってくる。一瞬だって休ませてはくれない。
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ざりお 「ターン制でバトルしろっての!」 |
太刀筋は鋭く、力強い。
なんとか避けられているが、ざりおの小さな体が喰らえばひとたまりもないだろう。
男はまた即座に踏み込み、剣を振り抜く。ざりおは脚に力を込めて飛び跳ねる、切っ先は宙を斬った。
今はなんとか避けられているが、一瞬一瞬間一髪、即死攻撃の連続だ。
こんな強敵に勝つことなど……
いや違う。
だめだだめだ、考えるな勝つことは。
とにかく今は時間を稼ぐ! アナだけは守れ絶対に!
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ざりお 「ほらほらどうしたどうした!」 |
跳びはね、転がり、軌道をそらし、迫る斬撃からちょこまかと逃げ回る。
体格差を活かした立ち回りで相手をイライラさせつつ、時間を稼ぐ作戦だ。
到底ヒーローの戦い方ではないが、これが今の最善手だろう。
ザリガニらしく、泥臭くあがいてやろうじゃないか。
剣を構え、男が迫る。
刺突を飛び越え背後に回る。大丈夫だ、まだまだ……
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男 「ぐるぁあ!」 |
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ざりお 「!」 |
男が咆哮を一つ。激しく震える。
体がみるみる、青い体毛に覆われていく。
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なんだ!? |
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狼 「グルォァア!!」 |
男は……男だった生き物は、体を翻しながら大口を開け迫る。鋭い牙が見える……狼か?
咄嗟のことに反応が鈍った。牙が甲殻を捕らえる。
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ざりお 「くそ、間にあッ……」 |
顎に力が込められる。
甲殻を嚙み潰す音が、闇夜の森に響いた。

[826 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[447 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[491 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[198 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[402 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[323 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[246 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[182 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[103 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[145 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[141 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[100 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[277 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
[35 / 400] ―― 《黒い水》影響力奪取
[147 / 400] ―― 《源泉》鋭い眼光
[77 / 300] ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
[93 / 200] ―― 《図書館》蜂のように刺し
[67 / 200] ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
[43 / 200] ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
[66 / 100] ―― 《珈琲店》反転攻勢
[100 / 100] ―― 《屋台》更なる加護
[55 / 100] ―― 《苺畑》不安定性
[0 / 100] ―― 《荒波》強き壁
[0 / 100] ―― 《小集落》猛襲
[0 / 100] ―― 《落書き壁》リアクト
―― Cross+Roseに映し出される。
・・・・・ヴオオォォォ・・・ッ!!
チャットに響く走行音。
アルメシア
金の瞳、白い短髪。褐色肌。
戦闘狂で活動的な少女。
鎧を身につけハルバードを持っている。
ヴォンヴォンヴォンヴォンッ
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アルメシア 「・・・・・・・・・最高、だッ」 |
アルメシアがバイクで登場する。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「・・・・・・・・・最高、だッ」 |
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白南海 「・・・じゃねぇよおい!チャットで爆走すんなうっせぇぇ!!」 |
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エディアン 「これはこれは、アルメシアさん。良い馬を手にしましたね。」 |
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アルメシア 「そうだろう!癖のある跳ね馬だが、御せれば最高の馬だぞこれは!!」 |
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白南海 「鎧姿にバイクとか・・・・・素直に馬はいなかったのか馬は。」 |
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アルメシア 「馬では限界があるだろう?進化とはこういうものと私は思う!」 |
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白南海 「はぁそうっすか、いや絶対違うけどな。」 |
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エディアン 「そういえば、アルメシアさんはマッドスマイルさんのこと知ってます?」 |
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アルメシア 「マッド・・・?何だそれは、人の名なのか?」 |
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エディアン 「ふむ、ロスト同士はお知り合いじゃないんですね。」 |
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白南海 「そもそもロストってのはどういう・・・・・・ぁ、この質問はやばいん――」 |
――ザザッ
チャットが閉じられる――