［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

暗闇の中、手をかざす。
窓際のベッドを照らす月は、あの日よりも少し丸い。
薄明かりの中で目を凝らせば、掌に残る引っ掻いたような傷痕が見える。

呼び水という言葉がある。
何かを引き起こすきっかけとなる物事。

あの日の廃校での出来事は、マナカにとってまさしくそのようなものだった。


『――あなたはどうして死にたいのかしら』


その言葉を、今まさに耳元で囁かれているかのように鮮明に思い出せる。

大人びた口調。
少し低い声。
それに反してどこかあどけない口元。
人体にはあり得ない硬質な殻に覆われた身体。
三対の脚に無数の腕。

ラピア──ラピアクチュールと名乗った彼女。


ラピアと出会ったのは、とある廃校だった。
打ち捨てられ、荒らされて朽ちかけたボロボロの校舎、その隅の一教室。


月明かり以外に照らすもののない仄暗い教室で、彼女は自殺志願者の少女に死を与えていた。


そして偶然そこを訪れたマナカを、彼女を頼った人間と勘違いした。
彼女に与えられる終わりを望んでやってきたのだと。
ラピアの腕の中で安らかに眠る少女と同じように。


他人の名前で呼びかけてきた彼女に対して、マナカは人違いを指摘しなかった。
その場から逃げ出しもせず、どころか呼びかけに応じて彼女の立つ教室へ足を踏み入れた。

一言人違いだと言えばよかった。そうせずとも逃げられたはずだ。いや、そもそもあの教室の扉を開けるべきではなかった。
どれもが過ちで、だけどマナカは自覚しながら一歩一歩足を踏み外していった。

踏み外して踏み外して、いよいよ崖の手前に立たされたマナカの背中を押したのが、ラピアの問いかけだった。


あなたはどうして死にたいのかしら。


死にたい、と思ったことはない。
それは確かなはずだった。マナカが自死を選んだときに一番悲しむのは両親で、愛する人が悲しむことを決して望んではいなかったから。

そもそも死ぬほどのことではないのだ。
身体の苦痛に苛まれるわけではない。
寿命が短いわけでもない。
ただ身体の中が女ではないだけ。子供が産めないだけ。
それだけ。
それだけだから。
もっとつらい思いをしている人はたくさんいて、だからきっと死ぬほどのことじゃない。
周りを悲しませてまで、そんなことをするものじゃない。

そう思ってきた。ずっと。ずっとずっと。


けれど、ラピアクチュールがマナカの苦しみを肯定した。
辛かったよねと、殺してあげるねと、そう言った。

そうして気づいてしまった。


中学3年生の夏に、風凪マナカは死んでいるのだ。


自分の体が女ではないと知った。
夢も想いも叶わないと理解した。
その時に、それまでの風凪マナカは死んでしまった。

だけど、叶わないと知りながら何一つ捨てられない。
捨てられないから、新しい何かを見つけることもできない。
孵らない卵を、腐っていくばかりのそれを抱え続けている。
きっとこれからもそうしていく。

そんなのは見苦しいばかりだ。

なのにどうしても、自分で終わらせることがマナカにはできなかった。
だからラピアクチュールに託した。


託して、死を受け入れて、だけどなぜだからマナカはこうして自室のベッドで寝転んでいる。
ラピアクチュールもまた、マナカを殺せなかったからだ。
殺してもらえなくて、だから何事もなかったかのように日常に帰ってきてしまった。
あの日のことなどまるで夢かなにかだったかのように。


だけど夢じゃない。
掌の傷が、握りしめた時に走る微かな痛みが、あの日の出来事が本当だったと証明している。

何よりマナカの心が、あの日の前には戻れない。

ベッドの上に手を投げ出す。
目を閉じる。


訪れる眠りが二度と覚めないものであればいいと思った。

特に何もしませんでした。

時空LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）
具現LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）
合成LV を 10 UP！（LV23⇒33、-10CP）

ここね(582) とカードを交換しました！

余がファイア猫である （サモン：イフリート）


ブラーゼン を習得！
クリエイト：エキストラハンド を習得！
サモン：スレイプニル を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

マナカ(507) は 毛+2 を入手！
マナカ(507) は 毒液+1 を入手！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『リュウジン区 C-17：チェックポイント《道の駅》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - マナカ(507) の選択は リュウジン区 C-17：チェックポイント《道の駅》

MISSION!!
ツクナミ区 F-1：崖 を選択！
　　 - マナカ(507) の選択は ツクナミ区 F-1：崖

［842 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［448 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［201 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［400 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［325 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［240 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［174 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［96 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［142 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［131 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［251 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［32 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［110 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［62 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［72 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［55 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［27 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［46 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［23 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




　




　








　






着物の裾を上げ、脚を見せる。

表面がドロドロし、変色している。

　








ふたりの全身をじーっと観察するカグハ。






ふたりの裾を戻すエディアン。

　

　

　






　

　

　

チャットが閉じられる――

切り立った崖の上。

綺麗な花畑が広がっている。

　

その花畑の中にある一本道の先に、誰かが立っている。

　






　

表情もなく、崖の先をまっすぐ見つめている。

　

　

少女がこちらに振り向く。

　




無表情のまま、笑い声のようなものを発する。

ゆっくりとこちらへと歩みを進める。

　

周囲の草花が枯れ消え、地面が剥き出しになる。

　

　　　ミシッ･･･

　

踏まれた地面が割れ、その一部が不自然に消え失せる。

･･･身体中が危険を知らせてくる。