─ 邂逅 ─
「あら、アンタ達もこっち来れるの……」
見知った双子の顔をこの狭間世界で見かけるとは思わず、気が付いたら声をかけていた。
獣の耳と尾がついているが、顔や体は変わっていない。
──犬っころみたいなものだと思ってたけれど、この耳と尾は猫……?
双子は不思議そうな顔でこちらをまじまじと見てくる。
──そりゃそうだ、本来の──鳥の姿を見るのは初めてだろうし。
「私よ。雨桐(ユートン)よ。美しいお姉様を忘れたの?」
イバラシティでの私は、この双子にとっては姉貴分みたいなものだ。
「えっ、ユー!?」
兄のアーモンド形の目が驚愕に見開かれる。
そして、
「……騙してたのか……?」
信じられない、という顔をこちらに向けてきた。
「騙される方が悪いのよ」
──だって侵略する為には、情報収集するにせよ、それが一番手っ取り早いし。
「……」
弟の方を確認すると、無言で睨んでいる。
この双子は『悪』というものを嫌悪していた筈。
侵略して平和を脅かそうとするアンジニティである私は『悪』なのだろう。
それが頭に浮かんだ途端、妙な心のざわつきを感じた。
この子達と戦いたくない? 敵なのに?
「なぁ、どうにかなんないか? ユーが敵だって戦わない方法だって……」
兄が説得するように口を開くと、逆に弟は警戒を高めている。
──やれやれ。
「……捨てられた犬みたいな顔するんじゃないわよ」
──猫っぽい耳と尻尾だけれど、やっぱこの子、犬なんじゃないかしらね。
「ったく……いいわ。協力してあげる」
敵意がない事を現すように翼を大きく広げて、心臓を晒すように無防備な体勢を取った。
兄は少しだけホッとしたように力を緩めたが、
「……そんな急に信用できると思いますか?」
弟が、何かあった時には兄を庇う事が出来るようにと前に出る。
「ま、いきなりじゃ信用できないのはしょうがないけれど……そんな事より何か来たわよ」
双子の後方からこちらに向かってくる気配を指した。
「コウタ! まずはあっちが先だ。ユーの事はその後にしよう」
兄の言葉に頷いた弟はそちらに意識を向ける。背後から襲われないだろうかという警戒を露わにこちらを気にしながら。
──私もヤキが回ったのかしらね?

[871 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[441 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[500 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[177 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[377 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[286 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[199 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[137 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[56 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[122 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[92 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[90 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[83 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
[0 / 400] ―― 《黒い水》影響力奪取
[8 / 400] ―― 《源泉》鋭い眼光
―― Cross+Roseに映し出される。
ザザッ――
ノウレット
ショートの金髪に橙色の瞳の少女。
ボクシンググローブを付け、カンガルー風の仮装をしている。やたらと動き、やたらと騒ぐ。
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ノウレット 「ごきげんよう皆さん。案内人さんには悪いですが、場所を借りますよ。」 |
チャットにノウレットが現れる。
・・・が、どうも雰囲気が異なっている。
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ノウレット 「何やら妙な輩が妙なことを言っておりましたが、全て戯言でございます。 ゲームへの支障はありませんのでご安心ください。」 |
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ノウレット 「混乱を招くような者は、こちらで対処させていただきます。」 |
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ノウレット 「そして・・・・・共に条件を満たしましたので、以前お伝えしました2件・・・18:00より開始いたします。」 |
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ノウレット 「ひとつ。影響力が低い状態が続きますと皆さんの形状に徐々に変化が現れます。」 |
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ノウレット 「最初に皆さんが戦った相手、ナレハテ。 多くは最終的にはあのように、または別の形に変化する者もいるでしょう。」 |
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ノウレット 「ふたつ。決闘を避ける手段が一斉に失われます。 ベースキャンプにいる場合でも避けられませんので、ご注意ください。」 |
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ノウレット 「・・・それでは引き続き、ゲームをお楽しみください。」 |
チャットが閉じられる――