
*大井真海 16回目日記*
[そろそろ書くことが無くなってきましたね。
まぁ一応はあちらも平和なようで、それはいいんですが。
……戦闘に関して、私の火力が低い事で足を引っ張っている気がするんですよね。
一朝一夕に上げられるものではないですし、そもそも私はあまり火力の出る戦い方ではありませんし。
とはいえ、何とか出来る物ならしたいところですね……]
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真海 『……業腹ですが、やはり影響力を上げるしかありませんか』 |
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“魔術師” 「……突然どうした?」 |
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真海 『戦闘で足りない物について考えてまして』 |
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“魔術師” 「だからその思考が物騒なんだって。 普通はそう簡単に切り替えられねーぞ」 |
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真海 『と、言われましても。 現状、完全に非常時ですし』 |
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“魔術師” 「まぁ、そうなんだけどさぁ……」 |
*“魔術士” 16回目日記*
[協力者、思考が勇者時代に戻ってないか? 何か殺伐度が上がってる気がするんだが。
まぁあと2時間で半分で、1時間に1回とはいえ戦闘続きだし光景はこんなだしなぁ……。
それでいうと、同行者達もよく音を上げないもんだ。
一部例外が居るけど。
しっかし、相変わらず謎が増えてるんだよなぁ。
……大体トラウマと、「魔法」が強化されてる仕組みについては把握したけど、じゃああの入れ物みたいな力っては何だって話で。
とはいえ、どうも協力者自身は道中のメモとか取ってなかったみたいだからそっちからは辿れない。
そもそもその入れ物みたいな力自体に気付いてないっぽいんだよな。
縁を辿って生まれの世界を調べようにも、それっぽい物が無いし。
となると、やっぱり召喚先の世界しかない訳だが……。
……現状考えると、そろそろ舞台裏を知ってる相手関係しか残ってないんだよなー……。
…………先に、協力者自身に聞けるところは聞いておくか。
“魔術師”の協力者への聞き取りメモ
はい? 私の使ってるまほ……異能の仕組みが知りたい?
……外部の力というのは分かってると。まぁそうなんですけども。
一応異能という事にしてるんですから話さないで下さいね?
うーん、そこの秘密さえ守ってくれれば教えるのは構わないんですよ。
しかしそれで知ったから使えるようになるかというと、多分無理では? と思うだけで。
……知的好奇心だから気にするな? まぁそれならいいんですけど。
といっても、私も詳しい仕組みを知っている訳ではありませんからねぇ……。
基本的に、実行は発声もしくは筆記によって行います。これが第一原則ですね。
えぇ。肉声でないとダメです。肉声であっても録音はダメです。
筆記の方も、必ず本人が書かないとダメですね。誰かに教えて書いて貰っても、ただの落書きです。
文字の数によって属性が変化しますので、基本的にその数の倍数、あるいは乗数の数の文字を使います。
倍数なら複数属性の組み合わせ、乗数ならその属性に特化した魔法になる、という訳ですね。
……そこは大体察してた? まぁ使ってるの見れば分かりますか。
一応確認しておくと、2が火、3が風、4が水、5が土です。
……あー……。1ですか。1音は、まぁ、後で説明しますが、基本的に無いと思ってください。
あ、前提知識の説明が抜けていました。召喚先の世界には、メインとなる神が5柱居るんです。
まぁ実際に居るのかは知りませんけど。たぶん居るんじゃないですかね?
そしてその5柱が、それぞれの属性と数に対応している訳です。
あと数と属性が密接に関わっているので、神の名前も通常は5文字であらわすのが特徴と言えば特徴ですかねぇ。
で、問題はその習得方法なんですが……。
……えぇ。前提知識として神の話を出した通りです。
まず自分がまだ習得していない音の組み合わせと、そこに持たせたい効果を専用の紙に書いて、神殿に持っていきます。
その神殿の神官が儀式をして、精神世界で試練を受けます。
与えられた試練を乗り越えられれば、望んだ魔法が身に付きます。
以上です。
まぁ、ですから、神殿が無いとどうにもならないんですよね。
形だけあっても対応する神の応答が無ければ習得のための試練が来ませんし……。
そしてこれが1音の魔法が無い理由なんですけど、その1に対応する属性が「無」なんですよね。
正確には「属性のない魔力」になるんでしょうけど、そもそもの神格が創造神なので格が上なんですよ。
だから、通常の祈りでは届かない……と、説明されました。
それにまぁ、1音ですからね。普通の会話や他の詠唱に混ざってしまう、というのもあるでしょうし。
というか、数と連動しているからか、倍数になる2(火)と4(水)の組み合わせ難易度が異常に高いんですよね。たぶんメイン理由はそっちだと思います。
……習得してないのか、ですか。
あー……してない、というと嘘になりますが、経緯が大分イレギュラーでしたから……。
そもそもの反動が大きいですし、あんまり使いたくないですね……。
……習得できる数の限界ですか?
うーん、少なくとも私は感じた事がありませんね。仲間もそんな様子はありませんでしたし……。
ただまぁ、試練を受けた累計の数が増えれば増える程試練の難易度は上がっていきましたから、たぶんどこかで限界は来るんじゃないでしょうか。
私達……召喚勇者は、試練の中でも押し付けられた加護が有効だったので、最悪ゴリ押しでも抜けれたって言うのもあるでしょうから。
……最終的な習得数ですか?
えぇと……基本強化としてほぼ常に使っていたのが10ぐらい、日常用ので50ぐらい、ギミック解除とかの特化型が……各属性で70づつぐらい……?
それから後半にかけて増やした大技系と、探知とかトラップとかその辺りもありますから……えーとちょっと待って下さい。
「R/COD」……あー、結構増やしてましたね。最終的に500か600ってとこでしょうか。
……あぁ、まぁ、多いと思いますよ。これでも仲間に比べれば大分絞ってる筈なんですけど。
色々細かい事を任される係、みたいなとこもありましたから。
……え、その仲間はどれくらいか、ですか?
うーん、正確なところは分かりませんが、私が金策や準備に追われている間も試練を受けていたようですから……まぁ、ざっくり倍ぐらいはあるんじゃないですかね。主に魅せ技とか大火力系で。
……はい? 他に神はいなかったのか、ですか?
うーんー……何といったらいいか。
神殿で聞いたのはその5柱と、あと、絶対に正式に名前を呼んではいけない、終焉を司る神が居ると聞きました。
が……旅の終盤も終盤で、他の神に会ってるんですよね。それも同時に複数。
それに加え、各所で話を聞いた限り、私達を召喚した時に立ち会った神はまた別みたいなので……。
結論から言えば、他にも神はいっぱい居る世界でした。
けれど、一般的に広く神として認知されているのは5+1柱ですし、魔法の為の試練を受けられるのは5柱だけです。
やっぱり聖職者が授かる奇跡の類じゃねーか。
いや、魔術じゃなくて魔法って考えたら間違って無くもないんだろうが。
つーか……あれか? 実行に必要な回路を神が握る事で、文明の発達具合を制御してる感じか?
神にズブズブに依存させるつもりしかねぇ構造だなおい。
けどまぁ、一旦回路さえ手に入れられたら、あとは普通の魔力で実行できるって事か。
そして手に入れた回路の使い込みによる強化もまた別と。
なるほど? 確かにこれならこの空間で強化されてるのにも説明がつくな。
……となると、あの「異界の力?」は何だって話にもなるが。
源じゃ無きゃ何なんだろうな?]

[860 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[431 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[492 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[171 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[369 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[274 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[193 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
[134 / 500] ―― 《古寺》戦型不利の緩和
[47 / 500] ―― 《堤防》顕著な変化
[116 / 400] ―― 《駅舎》追尾撃破
[5 / 5] ―― 《美術館》異能増幅
[1 / 1000] ―― 《沼沢》いいものみっけ
[24 / 100] ―― 《道の駅》新商品入荷
[72 / 400] ―― 《果物屋》敢闘
―― Cross+Roseに映し出される。
ザザッ――
暗い部屋のなか、不気味な仮面が浮かび出る。
マッドスマイル
乱れた長い黒緑色の髪。
両手に紅いナイフを持ち、
猟奇的な笑顔の仮面をつけている。
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マッドスマイル 「――世界の境界を破り歩いてはその世界の胎児1人を自らの分身と化し、 世界をマーキングしてゆく造られしもの、アダムス。」 |
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マッドスマイル 「アダムスのワールドスワップが発動すると分身のうち1人に能力の一部が与えられる。 同時にその世界がスワップ元として選ばれる。スワップ先はランダム――」 |
女性の声で、何かが語られる。
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マッドスマイル 「・・・・・妨害できないようね、分身。」 |
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マッドスマイル 「私のような欠陥品でも、君の役に立てるようだ。アダムス。」 |
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マッドスマイル 「・・・此処にいるんでしょ、迎えに行く。 私の力は覚えてる?だから安心してね、命の源晶も十分集めてある。」 |
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マッドスマイル 「これが聞こえていたらいいけれど・・・・・可能性は低そうね。」 |
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マッドスマイル 「絶対に、見つけてみせる。」 |
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マッドスマイル 「そして聞こえているだろう、貴方たちへ。 わけのわからないことを聞かせてごめんなさい。」 |
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マッドスマイル 「私はロストだけど、私という性質から、他のロストより多くの行動を選ぶことができる。」 |
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マッドスマイル 「私の願いは、アダムスの発見と・・・・・破壊。 願いが叶ったら、ワールドスワップが無かったことになる・・・はず。」 |
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マッドスマイル 「・・・これってほとんどイバラシティへの加勢よね。 勝負ならズルいけど、あいにく私には関係ないから。」 |
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マッドスマイル 「アダムスは深緑色の髪で、赤い瞳の小さな女の子。 赤い服が好きだけど、今はどうかな・・・・・名前を呼べばきっと反応するわ。」 |
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マッドスマイル 「それじゃ・・・・・よろしく。」 |
チャットが閉じられる――