―我孫子は今日もまたキッチンに立っていた。―




そう…、D.Dというスポーツのインターハイに向けてカレーを仕込むためだ。
(スポーツに何故カレーが？という疑問については話すと長くなるので割愛する。)
初めてキッチンに立った時は、つい最近まで包丁すら
握ったことがなかった息子の変貌ぶりに母親も驚いたものである。
ちなみに週末に両親にご馳走したらめちゃくちゃ喜ばれたのでちょっとハッピーだ。

…ともあれ、調理を開始しよう。


食材はジャガイモ、にんじん、玉ねぎ、肉、市販のルー。
特別なものは使わない。今回は基本に忠実に、をテーマとしていこう。
肉は鶏もも肉をチョイスした。鶏肉にはエネルギーの代謝を上げるビタミンB群や、
疲労回復を促進するイミダペプチドが含まれている。
スポーツマンにはもってこいの食材といえるだろう。
まぁ僕は試合中カレー混ぜてるだけなんだけど…。

まずは下準備から。




玉ねぎは繊維に沿ってくし切りに。
繊維を断ち切るように切ると火は通りやすくなるが煮崩れやすくなってしまうのだ。
繊維を残せばシャキシャキとした食感もアクセントとなるだろう。




続いてジャガイモ。皮を剥いてひと口大の乱切りにしていく。
ジャガイモは大別するとメークインと男爵があるが、
カレーに適した品種を選ぶならメークインで間違い無いだろう。
メークインはしっとりとした食感で煮崩れしづらいの特徴のため、カレーとよく合う。




お次はにんじん。これもひと口大に乱切りにしていく。
何故かこいつだけ火を通しきれなくて硬くなってしまうことがあって困る。
後追いレンチンでごまかしたりする。良い子はしっかり煮込もう。




鳥もも肉は弾力があるので包丁を入れるのにやや手こずる。
そんな時はキッチンバサミで切るのも手だ。肉は火が通ると縮んでしまうのでやや大きめに。


…さて、下準備はこんなところだろう。
次はいよいよ調理工程だ。




まず油をこう、ドーン！




そんで具材をバーン！




水！ダァーン！！そんでルー！！！
※いい子は火を止めてから入れましょう




はい完成！！！

ね、簡単でしょ？
これからは夏野菜が旬の季節。
基本のカレーの作り方を身につけて様々なカレーにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
僕もなんだかんだ2週間ぐらいカレー作り続けてたら大体出来る様になりました。

▲	バツ 「へへ、そーいうコト。 　アイツの異能、ホント凄くてさあ。 　普通なら病室から一歩も出れねーくらいのヤツが 　運動部の大会出られるくらいにまでなってんだぜ？ 　……D.D部を普通の運動部にカウントしていいかは分かんないんだケド」

	バツ 「役に立つ、なんて言葉じゃあ足りないね。 　おまえさんが友達で良かったよ、おれは。 　こりゃ、友情パワーで病気も案外ケロっと治っちまうかもだ」

	友の表情の変化を、見逃せる筈がない。 心の中で何度も謝罪しながら――けれど、まるで気付いていないかのように、話を続ける。

	バツ 「おまえさんのそういう季節感を大事にする姿勢、おれ大好き。 　丸々実った桃スイーツ、絶対美味いに決まってんだよな～。 　アッツアツのパンケーキにデカい桃が乗っかってるような正統派もいいし、 　前みたいな異色の組み合わせもアリだ……いっそ、開拓するか？ 　桃を使った創作レシピ料理大会……！！ 　夏休みならなんだって出来るよな、きっと」

	バツ 「……え、いなりんが……？ 　なんだろ、おれが前に通信繋いだ時は、爆発するオッサンの話とか 　サメをイケメンにするみたいな馬鹿話で盛り上がってたから……全然、気付けなかった」

	バツ 「でも、いなりんと一番長い時間つるんでるのはとっしーだよな。 　そのとっしーが違和感を感じるってんだったら、その直感には従った方がいいハズだ。 　とりあえず、おれの方でも何か気付いたコトがあったら教えるよ。 　……へへ、信じてるぜ、とっしー。おれも、そん時ゃ絶対力になるから」

▲	フタバ 「希望のある話……」

	フタバ 「そうだな、この戦いが終わったら、か」

	フタバ 「とにかく、ここでのことキレイさっぱり忘れて、 また平和ボケした生活を送っていきてぇわ」

	フタバ 「こんな死にかけた記憶なんか、要らねぇ。 1時間ごとにあっちから流れてくる平和な記憶、 やっばすっげぇ幸せだからよ」

	フタバ 「平和ボケした学校生活送って、卒業したら島外の大学通って、 近くの西洋剣術道場通って、本場の大会に出場して……」

	フタバ 「卒業する前に、宗像先生と、もう一回やりたかったな……」

▲	雀部 「　　　　　なまえ。」

	鸚鵡返しに呟いて、しばしの無言。 後退りのぶんだけ遠ざかったその顔を穴が空きそうな程にまっすぐ見つめる。 貴方がどうして名前を求めるのか、理解できていない様子で。

	雀部 「お前が、　　　　　呼びたいように呼べばいい 　ずっと前からそうしてきた 　いろいろな誰かが勝手に望みを込めて　いろいろな言葉で"これ"に話しかけた 　"かみさま"　"ほとけさま"　"おきつねさま" 　どう呼ぶかは誰か次第　わざわざ尋ねることもない 　お前も　そうするといい」

	雀部 「――　道理か　 　道理の話が聞きたいなら　聞かせてやろう 　"雀部"がつよくつよく　"雀部"を殺そうと願ったなら 　ふたつのうちのひとつが押し込められたなら 　たとえ目の前に嫌いなお前が居ようとも 　残ったもうひとつが浮き彫りになってゆくのが 　…"道理"　というものだろう　」

	くすくす。意地悪そうに笑う。 　そうして細められた赤色は、最初ほど鮮やかなものではなくなっていて。

	雀部 「お前が見捨てられないものを 　守らなくてもいい、などと　"雀部"が蔑ろにできるわけがなく 　ずっと一緒に、などと　保証もない未来を約束できるわけがない 　けれど　それが本音 　それが　押し殺された"雀部"自身」

	雀部 「ああ　そうだった 　お前も似たようなことをするんだった」 「―――　いきぐるしいだろう？ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　誰かのために、　自分を殺して、　生きるのは　」

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