
私の異能は死んだ人にも有効だ。
死んでもそれが動くように出来る物だ。
本来、それは凶暴性を与えるだけのものではあるが、例えば死にかけの状態。
ギリギリ死んでいない時に与えたらどうなる?人間の元の意識と異能で与える意識は重複できる。
精神力一つでいわばそれは抑え込めるのだ、最も死が近づいてる者にそんな余裕など普通はないが。
しかし──
『何せ激突しただけならまだしも…
後続車も止まりきれず正面と背後で潰されたんだから一家が助かるはずが──』
もしも──
『手術が成功するとでも!?』
もしも──
『血を操れる、だから血流を私が…何とか、します』
もしも──
『正直、良くて植物状態のままかもしれないが…』
…………否、確信だろう
「…この景色を観れるのも後、どれ位かなぁ…」
旧宿守神社跡地から街を眺める。未だ未練がましく私は巫女服を着たまま。
夏風に揺られる髪は当然汗で滲んでいたが、気にする事はなかった。
ここが、心地良い場所だから──
日に日に、身体が重くなっていくのを感じる。
だが、親族らしい親族も最早自分の身近にいると言える域ではない。
その日が突然来たとしても、誰に葬儀などをお願いすれば良いのだろうか。
森山薫には頼めない、彼女は彼女で最早その日が近いのだ。
なにより、花子おばあちゃんに私の存在を勘付かれたくはない。
考えてみれば、神社がなくなった日、いつしか世界が静かに変化を遂げた気がしてから私は一人で走ってきたのかもしれない。
何となく、今ここに私がいること自体が悪い事みたいで色んな物から隠れるように生きてきた気がする。
その末に、こうして今私は一人、この場所に一人、一人でいる。
寂しくないといえば嘘になる。
人並みに寂しい、人並みに苦しい、人並みに辛い。
そういう思いを閉じ込めて今迄走ってきた、巫女でいた頃は幸せだった、毎日、いろんな幸せ、色んな発見、色んな出会い、大事な思い出、それに満ち溢れていた。
私という存在が家族の歪みになっていて、私が噂に聞くアンジニティではないかと悩んだ日もあった。
それでも家族が一番強く否定してくれた。
きっと、彼女も否定してくれた。
「………」
そうか、私は死ぬ事よりもきっと恐れていたのは。
孤独だったのだ──
「…っふ……ぅう、あぁ…ッうぐっ、ふ──」
泣いていても大丈夫誰にも聞こえない。
19歳の男がこうして一人で泣いていても誰もおかしな目で見たりもしない。
ここにいるのは私一人なんだから。
でも──
子供の頃私を女顔と言ってからかってきた人でも良いから。
私の異能を怖がった人でも良いから。
神社に来た誰か、家族、彼女、大事な人でも些細な人でも。
誰かに確かにあんな人がいたと思ってもらって死にたかった。
これは、残された時間を隠れて生きてきた私の過失でしかなく、それだけ、それだけのことなのだ──

[842 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[382 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[420 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[127 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[233 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
[43 / 500] ―― 《商店街》より安定な戦型
[27 / 500] ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
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白南海 「・・・・・おや、どうしました?まだ恐怖心が拭えねぇんすか?」 |
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エディアン 「・・・何を澄ました顔で。窓に勧誘したの、貴方ですよね。」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
落ち着きなくウロウロと歩き回っている白南海。
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!! 俺これ嫌っすよぉぉ!!最初は世界を救うカッケー役割とか思ってたっすけどッ!!」 |
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エディアン 「わかわかわかわか・・・・・何を今更なっさけない。 そんなにワカが恋しいんです?そんなに頼もしいんです?」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
ゆらりと顔を上げ、微笑を浮かべる。
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白南海 「それはもう!若はとんでもねぇ器の持ち主でねぇッ!!」 |
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エディアン 「突然元気になった・・・・・」 |
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白南海 「俺が頼んだラーメンに若は、若のチャーシューメンのチャーシューを1枚分けてくれたんすよッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・。・・・・他には?」 |
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白南海 「俺が501円のを1000円で買おうとしたとき、そっと1円足してくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・・・あとは?」 |
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白南海 「俺が車道側歩いてたら、そっと車道側と代わってくれたんすよ!!そっとッ!!」 |
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エディアン 「・・・うーん。他の、あります?」 |
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白南海 「俺がアイスをシングルかダブルかで悩ん――」 |
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エディアン 「――あー、もういいです。いいでーす。」 |
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白南海 「・・・お分かりいただけましたか?若の素晴らしさ。」 |
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エディアン 「えぇぇーとってもーーー。」 |
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白南海 「いやー若の話をすると気分が良くなりますァ!」 |
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・・・・・・・あああぁぁワカァァ!!!!!!」 |
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エディアン 「・・・あーうるさい。帰りますよ?帰りますからねー。」 |
チャットが閉じられる――