
*大井真海 9回目日記*
[楽になったのは良いんですが、どうやら向こうで過ぎる時間の間隔が、短くなっている……よう、ですね?
ルールの変更という訳でも無さそうですし、何の変化なんでしょうか。
まぁ楽になったのは良いんですが。記憶の流入という意味で。
……問題は。
まず1つ。「今回の試合」。
つまり最低でも「前回」が存在し……それを、観測、及び記憶している、という事、ですね。
詳しく話を聞きたいところですが、無理がありますか……。
2つ。決闘を避ける手段が一斉に失われる、ある条件。
開示してはならないというルールが、あるんでしょうねこの分だと……。
戦争、なのですから、争いは避けられない……と。
……3つ。影響力が低い状態が続くことによる変化。
これは……嫌な想像は、いくらでも出来ます、が。
「多くは最終的にあのように」。……つまり、このハザマという場所において、「今回の参加者」以外の全ては、まさか――]
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真海 「…………」 |
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“魔術師” 「どうした、協力者」 |
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真海 『……どうした、ではありません』 |
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“魔術師” 「あー……あの通知っつか告知っつか、あれか」 |
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真海 『他に何があるんですか。 ……嫌な想像だけは、いくらでも出来る情報です』 |
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“魔術師” 「まぁ……確かにな。」 |
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“魔術師” 「つっても、確かめようもねーしなぁ。 とりあえず今は目の前のことに集中するしかねぇだろ」 |
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真海 『分かっています』 |
*“魔術士” 9回目日記*
[だからさぁ。
協力者はキレ方が静かだから余計に怖ぇっつってんだろ!!?
何でこうぽんぽんと爆弾を放り込んでくるかなぁ!?
まー向こうからすれば参加者の心情なんか知ったこっちゃねーんだろうけどさぁ……。
感情の制御が上手い分だけ近くに居るおれしか分からないのって結構辛いんだが。
まぁバラす訳にもいかないし、バラしたところで意味無いから我慢するけどな。
参加者に優しい奴だったらそもそもこんな問答無用な巻き込みしないだろうし。
さて、切り替えだ。
前ので固有名詞出てきたのはでかいな。今度は、もうちょっと細かい事も分かればいいんだが……。
ある情報屋の覚書
ファイリト王国が勇者を召喚したらしい。
流石何でもかんでも神頼りの国だ。自衛すら神頼りか。
勇者の情報が大層な値段で売捌けて笑いが止まらない。
金の髪の勇者と銀の髪の女勇者か。見目が良いのはそれだけで得だな。
しかし勇者の国は従者を黒髪で揃えるしきたりでもあんのか?
従者だと思ってた奴ら、どうも従者じゃないんじゃないか?
従者なら主の行動に口を出す事はしないだろう。ましてや時々手が出てる。
よく分からんな。
黒髪の方が本当の勇者で、キラキラしてる方はオマケな気がしてきた。
むしろ、勇者だけだと地味だから貴族を付いて行かせてるって言った方がしっくりくる。
冒険者ギルドから依頼があった。何だよチンケな情報屋に何の用だ。
と思ったら、勇者についての事だった。
は? 勇者の中に精霊と交信できる奴はいるか?
あー……黒髪の一人が多分そうだなこれ。精霊使いや神官がそれっぽい反応してる。
で、何でそんな情報が必要かは当然教えてくれねーんだなこれが。
ははぁん、精霊の地が発見されたのか。
まぁ確かに精霊が生まれる場所の新規発見となれば大事だ。
神の声が年々遠くなってる中、精霊にまで去られちゃたまったもんじゃない。
勇者ってのは悪人からすればそこまで美味そうなのか?
この分だとその内世界中の悪党が勇者に集まる事になりそうだ。
まぁ現在位置の情報が売れてウハウハしてるから人の事言えねぇか。
やっぱりあのキラキラしたの、勇者じゃないんじゃないか?
女の方はそういうのが好きなのかって程あっちこっちに浚われる。
男の方は部外者が口を挟むとややこしくしかならない問題に頭から突っ込む。
勇者ってのも楽じゃないな。
……どうやら勇者を舐めていたらしい。
仲間割れとか決闘とかじゃない、本気の殺し合いが起きた。
で、山が1つ消し飛んだ。
怖。
もう勇者に関する情報集めるの止めるか?
天下のスパイル帝国から依頼が来た。
ファイリト王国の、勇者召喚の方法は何か?
しーるーかー!
路地裏をねぐらにしてるような情報屋がそんなの知る訳ないだろーがー!?
……っていうのもシャクなんで、ちょっと頑張った。
いや、やってみるもんだな。
まぁそんな情報を求めて来たって事は、そういう事だな。
スパイル帝国も勇者を召喚した。
まともだと、いいな?
流石天下のスパイル帝国。まともな勇者を召喚したらしい。
で、どうやら問題児2にまとも1のあっちの勇者たちに合流させるらしい。
お優しい事だな? あれ絶対まともな勇者への手助けだろ。
流石にどの国でもない、魔王の勢力圏に入ると情報が一気に手に入らなくなるな。
分かる範囲だと、随分とダンジョンを念入りに潰して回ってるようだが。
いつの間にか勇者に関する情報の専門情報屋みたいな扱いをされてた。
だからか!? だからか! 貴族だの諜報員だのが周りへの事も考えず来たのは!!
勇者も魔王を倒したらしいし、もうこれ以上やってられるか!
たんまり稼がせてもらったし適当な辺境で楽隠居してやる!!
覚書でこれだけ詳しい情報が出るんなら専門の情報屋扱いは仕方ないんじゃねぇかな。
さて、もうちょっと固有名詞について情報引っ張ったら一回纏めるか]

[816 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[370 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[367 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[104 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[147 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
チャット画面にふたりの姿が映る。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・怖いだろうがよ。」 |
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エディアン 「・・・勘弁してくれませんか。」 |
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白南海 「ナレハテってあの!アレだろォッ!!?ドッロドロしてんじゃねーっすか!! なんすかあれキッモいのッ!!うげぇぇぇぇうげえええぇぇぇ!!!!!!」 |
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エディアン 「私だって嫌ですよあんなの・・・・・ ・・・え、案内役って影響力どういう扱いに・・・??私達は関係ないですよね・・・????」 |
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白南海 「あんたアンジニティならそーゆーの平気じゃねーんすか? 何かアンジニティってそういう、変な、キモいの多いんじゃ?」 |
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エディアン 「こんな麗しき乙女を前に、ド偏見を撒き散らさないでくれます? 貴方こそ、アレな業界の人間なら似たようなの見慣れてるでしょうに。」 |
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白南海 「あいにくウチはキレイなお仕事しかしてないもんで。えぇ、本当にキレイなもんで。」 |
ドライバーさんから伝えられた内容に動揺している様子のふたり。
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白南海 「・・・っつーか、あれ本当にドライバーのオヤジっすか?何か雰囲気違くねぇ・・・??」 |
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エディアン 「まぁ別の何か、でしょうね。 雰囲気も言ってることも別人みたいでしたし。普通に、スワップ発動者さん?・・・うーん。」 |
ザザッ――
チャットに雑音が混じる・・・
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エディアン 「・・・・・?なんでしょう、何か変な雑音が。」 |
ザザッ――
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白南海 「ただの故障じゃねーっすか。」 |
ザザッ――
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声 「――・・・レーション、ヒノデコーポレーション。 襲撃に・・・・・・・・いる・・・ 大量・・・・・こ・・・・・・死体・・・・・・ゾ・・・・・・」 |
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声 「・・・・・ゾンビだッ!!!!助け――」 |
ザザッ――
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「ホラーはぁぁ――ッ!!!!
やぁぁめろォォ―――ッ!!!!」 |
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エディアン 「勘弁してください勘弁してくださいマジ勘弁してください。 ホラーはプレイしないんですコメ付き実況でしか見れないんですやめてください。」 |
チャットが閉じられる――