［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

場所はハザマ。白い空の下、ぬかるんだ森の道を青年たちは進行していた。

進行方角は南。その先に何があるのか青年には分からない。

ともかく、行ける場所を広くしよう。青年はそう考えていた。

伝説の７人をロストの願いを叶えれば、世界を覆う影響力を得ることができる。それによって、イバラシティ とアンジニティのバランスも変わってくるらしい。

ロストたちの求める"モノ"を手に入れて、彼らに提供すること。相手陣営のやつらと戦って勝つこと。それが侵略の方法だという。

イバラシティ 侵略の走狗である青年は、資源の入手のため、探索のためにハザマを奥深く進んでいかねばなるまい。

鬱蒼とした森の中、ぬかるんだ山道を、青年は黙々と歩いていた。針葉樹の濃い緑の葉が茂枝が左右に広がり、ずしゃとかどかどかとか湿気のある重い足音が続いていた。

顧客課題の解決（ロスト対応）
競合に勝つための製品力（相手陣営対応）

足音がずしゃずしゃドカドカと聞こえてきた。砂利と擦れる音、自重が地面を踏みしめる音、小刻みに、読経のように。

青年が毎日毎日会社で考えていることと何も変わらない。イバラシティ への侵略も、浮世の渡世のありさまも、何かを作り出し、誰かのモノを受領して、戦って勝利することを請われるのだ。

それがどう言う意味を持つのか？　

青年は歩きながら考えていた。ハザマでもイバラシティ でも（自分の）そのあり様の本質は何も変わらない。何も。そのことは何を意味しているのか？

濃い緑の針葉樹は杉の木の歯に似ている。雨上がりなのか時々葉が揺れて飛沫の雨が降ってくる。

足音がする。地面を踏みしめる音が。藁草履に脚絆、網代笠を被った僧形の姿が見える。僧侶は青年に取り付いた「しゅんかんそうず」なる怨霊だ。虚ろな青年の瞳には常時その姿が見えるのだ。

数奇な運命に導かれ、青年は怨霊と同道する身の上なのであった。

青年は腕時計を確認した。ぼちぼち疲れてきた。

「しゅんかんさん、少し、小休止をしましょう」
「心得た」

しゅんかんさんは木の幹の下に腰をかけ、青年は腰をかけられそうな岩に身を預けてふぅーと息をついていた。

「京都は、まだまだ遠いでござるなぁー」

僧形の怨霊は誰に言うでもなく森の中に呼びかけていた。森は応えない。青年も応えない。青年には、怨霊の呟きは全くの虚無、void、empty、空集合のように思われた。

青年は森の先を見つめる。この先に京都があるのか？　この先にあるのは京都ではないと思うのだが。

青年の脇に気配がした。青年が横を見やると、ヴェールを被った人影があり、屈みこんで青年の顔を覗き込んでいた。青年にはそれが（死霊の）ミセス・パトラだとわかった。ミセス・パトラは９ヶ国語を流暢に操るインテリな死霊であり、しゅんかんさんの冥府業界の似た方角から来たと語っていた。

数奇な運命に導かれ、青年は怨霊や死霊に取り憑かれ、視界のどこからともなく死霊の姿が見え、声が聞こえるという、よく分からないことになっているのであった。

「俊寛僧都について、情報をご提供いたしましょうか？」
「・・・」

青年は一瞬躊躇した。サービスには対価が必要なのでは？　悪魔業界ではサービスの対価は魂なんだろ？

「今回は無料ですよ？」

ミセス・パトラの声は鳥のさえずりのようだった。曰く、青年の怨霊戦士としての覚醒を促すには、情報が必要だと。それがミセスの利にかなうのだと。

「いや、いいです」

青年は首を振った。知っておいて損な事柄というのは少ない。知は力なり、である。しかし、無料より高いものはないというのも、この世の真理なのである。ゼロと無限は表裏一体。

「ふふふ・・・」

ミセス・パトラの笑い声が聞こえてきた。蠱惑的で人を魅了するような響きがあった。

青年の視界が画面ジャックされたかのように歪み、視界の脇に何かの映像が映し出されていた。ハザマという異世界で、さらに、異界の有様を垣間見る。異世界は多重化する。世界は多重レイヤーとなっている。

「俊寛僧都の一生　〜京都から鬼界ヶ島へ流された〜（ダイジェスト版）」

青年の視界の片隅に、誰かの人生のダイジェスト映像は流されていたのであった。青年はぼんやりその映像に見いってしまう。

＊＊＊

（起）
京都の風景。最高権力者の坊さんを取り囲む、公家や坊さんたち。その坊さんの中に、しゅんかんさんはいたのだった。
最高権力者は夜な夜な歌を歌い、千手観音の仏像が並ぶ大伽藍を建築したりして、その脇で主君をサポートする懸命にしゅんかんさんたち側近たち。
権力の中枢にて腕を振るうしゅんかんさん。坊主のくせに妻帯もして、この世の春を謳歌していたのだった。

（承）
とあるお寺で執り行われた権力闘争の謀議、別の権力者（こいつも坊さんだ）の激怒する顔（おっかない）。
幽閉されてしまうしゅんかんさんの主君（の坊主）、しゅんかんさんはいかつい武者達にぶん殴られて、捕縛されてしまう。
縄に縛られて、おっかない坊主の前に引き出される。罪状は、内乱の謀議、刑罰は流罪。

流罪・・・。島流しであった。

（転）
しゅんかんさんは謀議に参加した他の２人の側近と一緒に船に乗せられる。妻や子の涙声。
船ははるばる海を渡り、揺られて嘔吐も催して、絶海の孤島とも言うべき南の島に流されてしまった。
書物や歌が盛んな文化の中心部である都から、大自然あふれる孤島へと流されてしまった。

瀟洒な僧服を身にまとい頭を綺麗に丸めていたしゅんかんさんは、ボロボロの僧服を着た髪とヒゲボーの怪人物に成り果てていた。

（結）

３人での孤島ライフは、仲間の側近の実家からのお米の支援によって何とな成り立っていた。だが、しゅんかんさんの煩悶は続いていた。
しゅんかんさんは煩悶する。思い返される家族の顔、将来への見込みのなさ、一生この島で過ごすのか・・・。信仰にすがる友は祈り、しゅんかんさんは思索して考えていた。

そして、運命の日は来た。数奇な運命に導かれ、都から迎えの船が来たのだ。赤茶けた砂浜に駆け寄る３人の流罪人。船から降りてきた官吏は告げる。
かの怒りの権力者の孫の誕生を祈念して、これより読み上げる罪人への恩赦を与える、と。歓喜に沸き立つしゅんかんさんたち。読み上げられる名前。

読み上げられた罪人の名は2人まで、しゅんかんさんの名はなかった。

なぜ？

しゅんかんさんは官吏に駆け寄って書状を見せてもらう。しかし、いくら見てもしゅんかんの名はない。
官吏は2人を船に誘う。気の毒そうな顔をするものの、嬉しそうに船に乗る2人。

船は出港してしまう。波間を追いすがるしゅんかんさん。波に砂浜まで打ち付けられ、地団駄に砂を踏みしめ、絶叫が木霊した。

＊＊＊

・・・青年の視界の映像はそれで終わった。青年はため息をつき、映像の先の、呆けたような顔で休憩するしゅんかんさんの様子を眺めやる。

あの絶叫の先に、また別のストーリーがあり、流罪人の坊主は怨霊に身をやつしたのだろうか。あの怨霊にはこのような背景があったのか。波乱盤上な人生だな、と。

ミセス・パトラもしゅんかんさんに視線を向けていた。

「あの者の都に帰りたいという意思は並並ならぬものがあります。あの者は、かつて己が感じた望郷の苦しみを、このイバラシティ への侵略で果たそうとしているのでしょう・・・」

なるほどとね、と青年は頷いてみる。しかし、本当かな？　それだけかな？　悪霊のいうことなど鵜呑みにしていいのかな？

「ミセス・パトラ、それでは、貴女の侵略にかける目的は何なのですか？」
「ふふふ・・・」

ミセス・パトラのヴェールに隠された顔は笑みを浮かべているのか、どうなのか？　含み笑いの笑い声だけを残して、その人影が立ち消えてしまった。

「・・・」

青年は岩から体を起こして立ち上がった。あなたのことはしゅんかんさんに聞くとしよう。

「では、ぼちぼち参りましょう」

しゅんかんさんも立ち上がり、青年と一緒に、次なる目的地へ向かって歩き始めた。

人影となって人に付きまとう怨霊もいれば、人と同道する怨霊もいる。人も霊のそのあり方は数多あるということのようだ。

＊＊＊

青年は森を抜けて道路に出た。そこは街道であり、遺跡になってしまった道路のようでもあった。石畳の路面はあちこちで草が生えている。

天気は明瞭ではなく、霧が立ち込めている。ハザマはいつも天気が悪いのだ。青年は道路を歩いていると、霧の中からパーティメンバーの悪霊が現れて、戦力として合流した。

青年のパーティメンバーは、蛇と名乗る面の男、人形やおもちゃを使役する道化師のような面の女の子であり、しゅんかんさん曰く、両名ともに悪霊に関係する者たちであるようだった。

「じきに会敵予想地点だ」

青年は歩きながらポケットから携帯端末を取り出して地図を確認する。道路を進む先にはEnemyマークが示されていた。地図にはEscapeルートが数本、The next meeting place （集合場所）なる地点が表示されていた。青年は携帯端末をしまい、歩きながらグローブを整え、女の子と面の男に呼びかけた。

「打ち合わせ通りに、速攻で、逃げる時も迅速に」

両名からは頷きが帰ってきた。霧のかなたに人影が現れた。しゅんかんさんの像も緊張からか揺らいでいた。数珠を取り出して何やら念仏を唱え始めている様だった。青年は頼りにならないな、と嘆息していた。

今回の敵は強い。彼我の戦力を分析したところ、相手は火力もあり、補給も潤沢だ。速攻を決めなければ勝ち筋はない。ハザマでなければ、現実世界では、決して戦えるような状況ではない。

しかし、青年たちは、一歩一歩、霧の向こうの、３人の人影へと近づいていく。読経の声を聞きながら。強敵のもとへと。

「これはまるで、東洋の仏説にRIKUDOUにおける、SYURADOUね」

青年の耳元に、ミセスパトラの声と息が吹きかけられた。ことりのさえずりのような声で、物騒な物言いをする。青年は歩きながら、眉をひそめた。

青年の周りには悪霊たちが集う。それが、青年のイバラシティ 騒動をいいまとめる、１つの形容の形なのだろう。

ItemNo.15 鯖缶 を食べました！
　体調が 1 回復！（25⇒26）
　今回の全戦闘において 活力10 敏捷10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

制約LV を 5 UP！（LV5⇒10、-5CP）
武器LV を 5 UP！（LV55⇒60、-5CP）

千笑(1162) の持つ ItemNo.7 毒牙 から射程3の武器『行灯海月』を作製しました！
「蛇」(929) の持つ ItemNo.18 皮 から射程1の武器『蛇の識覚』を作製しました！

千笑(1162) により ItemNo.16 お野菜 から料理『コロッケ』をつくってもらいました！
　⇒ コロッケ／料理：強さ40／［効果1］器用10 ［効果2］幸運10 ［効果3］－

サイタマ(884) とカードを交換しました！

聖人マネキン （サモン：サラマンダー）


ブレイドフォーム を研究しました！（深度0⇒1）
ブレイドフォーム を研究しました！（深度1⇒2）
ブレイドフォーム を研究しました！（深度2⇒3）

ペナルティ を習得！
スピアトラップ を習得！
ボムトラップ を習得！
ジャックポット を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

「蛇」(929) は 桜 を入手！
千笑(1162) は 桜 を入手！
でっさん(1340) は ポプラ を入手！
でっさん(1340) は 鉄くず を入手！
でっさん(1340) は 鉄くず を入手！
千笑(1162) は 羽 を入手！

カミセイ区 M-5（森林）に移動！（体調26⇒25）
カミセイ区 N-5（森林）に移動！（体調25⇒24）
カミセイ区 N-6（草原）に移動！（体調24⇒23）
カミセイ区 O-6（森林）に移動！（体調23⇒22）
カミセイ区 P-6（道路）に移動！（体調22⇒21）

採集はできませんでした。
　　 - でっさん(1340) の選択は カミセイ区 H-4：チェックポイント《森の学舎》（ベースキャンプ外のため無効）

MISSION!!
カミセイ区 N-6：カミセイ大公園 が発生！
　　 - 「蛇」(929) が経由した カミセイ区 N-6：カミセイ大公園
　　 - 千笑(1162) が経由した カミセイ区 N-6：カミセイ大公園
　　 - でっさん(1340) が経由した カミセイ区 N-6：カミセイ大公園

［816 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［370 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［367 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［104 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［147 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

　

　





　




チャット画面にふたりの姿が映る。

　





　





　








ドライバーさんから伝えられた内容に動揺している様子のふたり。

　





　

　

　

ザザッ――

　

チャットに雑音が混じる･･･

　

　

　




　

ザザッ――

　




　

ザザッ――

　




　




　

　

　

ザザッ――

　

　

　





　

　

　





　

　

　

チャットが閉じられる――

公園･･･ のような場所。

枯れた芝生。涸れた噴水。

色褪せた遊具。

　

ギィ･･･ ギィ･････

　

何か、音がする。

　

ギィィィ･････

　





　

遊具が独りでに動き出す･･･！！