Cルート
―――――消去
Aルート
フレシ
オブルス
オブルス=アーク=パラダイス
闇探偵
死にたがりの青年
「ねえ、フレシくん。
価値がないこんな俺でも出来ることってあるんすかね」
「兄さんに価値、な……んてないよ。出来ること、なんてないよ」
「……そう、れすか」
「な、にもしなくていい、なにもしないで、ずっと俺様の玩具でいて、泣いて、苦しんで、ずっと」
「"俺"は今までずっとそうしてきたんれすね」
「あ……あ、兄さんはずっと、これからもずっと」
予備の"弟"と兄はハザマを眺める。
"弟"は違和感に気付かないまま。
ルート分岐発生
Bルート
フレシ
オブルス
オブルス=アーク=パラダイス
廃遊園地の管理者
死にたがりだった成年
「次は……守護者、か」
「
……もう、いやだ」
「……兄さん、行かな、きゃ」
「……いやだ、
いやだ、
いやだ!!!
俺はあそこに居たのに、生きてきたのに、居たいのに。
どうして奪われなきゃいけないのすか、奪わないといけないのすか」
「……予備だから。錯誤した世界の、予備。
兄さんが生きてきた世界は物語を修正するために、必要な、予備の世界」
「いやだ……。
俺の記憶は偽物じゃない!!"俺"なのに!
生きていたい、
ホンモノじゃなくても!
消えたくない!」
「……そう、だよな」
「こんな世界に飛ばされて、否定の世界の住人だって言われて、争わないと消える人生なんていやだ!」
「……兄さんがそう望むなら、いちどだけ手を貸して欲しい」
「……」
「……行こう、皆が待ってる」
「
俺を待っているのは……」
「いつか、本当に兄さんを待っている人がいるところへ行くために、行こう」
「フレシくんらしく、ないすすね」
「そう、だな。俺様は、"俺様"じゃないから」
弟と"兄"はハザマを進む。
"兄"は違和感を飲み込んだ。どうせ向こうではここのことを覚えていないのだから。
ルート分岐発生
A・Bルート
ブルゴーニュ
カルレンテ=BB=ブルゴーニュ
錯誤世界の管理者
元・錯誤の探偵
現・不死身の探偵
メリリフ
―――予備世界の管理者は、錯誤世界の管理者からの呼び出しに応じた。
「貴方のせいだ。貴方のせいだから。責任を取るべきだ。貴方が」
「ああ、勿論。初代の犯した罪は僕の責任でもある。君はなにを望むんだい?」
「孤独だった私が望むのは。
幸せを諦めた私が彼らに望むのは。幸せになって欲しい、私の代わりに」
「あははあ、高慢な願いだね。いいさ、叶えたまえ。
初代錯誤の探偵が綴った物語を打ち破る手伝いをしてくれたのだから、そのくらい見逃すさ」
「貴方がアカシックレコードに干渉したからでしょう、そもそもは。
手伝ったのではなく貸しをつくっただけですよ、私は」
「そうでもないとロマネを止められなかったんだもん」
「なにが『だもん』ですか」
「あっはあ、あ、やめたまえ顔は、僕の整った顔はやめてボディにしてくれたまえ」
「……はあ。
貴方の息子に手を差し伸べたなんて、笑えませんよ。この私が。
解っています?貴方が消えたりしたから、ああなったって」
「そうだねえ、あの子たちの父親は消えた。
こちらでは、突然、自分が錯誤の探偵ブルゴーニュだと言ってね」
「こちらでは、突然、記憶を失って」
「フレシは頭のいい子だから、辿り着いたんだ。
自分の父親がブルゴーニュになってしまったかもしれないという希望に」
「だけれどこちらの世界には『錯誤の探偵』は存在しない。
貴方が存在する世界の不備を修正する世界だから」
「そちらに不備が残ってしまった。」
「"フレシ"は希望がないことに辿り着いた。
こちらの二人にとって貴方は居ない。
歯車の狂いに取り返しがつかなくなったのですよ、その食い違いのせいで。
差し伸べた手が見えない、幸せになどなれない、彼らは。
貴方のせいだ。全て、全てが。」
「そうだね、錯誤の探偵ブルゴーニュさえいなければ。
ま、過ぎたことを嘆いても仕方がない」
「オブルス=アーク=パラダイス、フレシ=アーク=ロイヤル、
両名による世界間干渉、同一個体への干渉を」
「許可しよう」
「許可します」
ルート分岐承認
████における同一個体への不干渉認知フィルターの解除。
自らへ聞きたまえ、自らへ答えたまえ。
自分が何者であるか
自分で選びなさい、自分で決めなさい。
何処に居たいか

[787 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[347 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[301 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[75 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
ザザッ――
画面の情報が揺らぎ消えたかと思うと突然チャットが開かれ、
時計台の前にいるドライバーさんが映し出された。
ドライバーさん
次元タクシーの運転手。
イメージされる「タクシー運転手」を合わせて整えたような容姿。初老くらいに見える。
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ドライバーさん 「・・・こんにちは皆さん。ハザマでの暮らしは充実していますか?」 |
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ドライバーさん 「私も今回の試合には大変愉しませていただいております。 こうして様子を見に来るくらいに・・・ですね。ありがとうございます。」 |
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ドライバーさん 「さて、皆さんに今後についてお伝えすることがございまして。 あとで驚かれてもと思い、参りました。」 |
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ドライバーさん 「まず、影響力の低い方々に向けて。 影響力が低い状態が続きますと、皆さんの形状に徐々に変化が現れます。」 |
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ドライバーさん 「ナレハテ――最初に皆さんが戦った相手ですね。 多くは最終的にはあのように、または別の形に変化する者もいるでしょう。」 |
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ドライバーさん 「そして試合に関しまして。 ある条件を満たすことで、決闘を避ける手段が一斉に失われます。避けている皆さんは、ご注意を。」 |
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ドライバーさん 「手短に、用件だけで申し訳ありませんが。皆さんに幸あらんことを――」 |
チャットが閉じられる――