突然の『侵略』に揺れる『イバラシティ』

　そこにうりふたつの少年二人がいた



　一人は『記憶』の少年

　もう一人は『再生』の少年



　二人は『救世』のため

　侵略を『ジャック』する



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＜登場人物＞

宮田一穂（みやたかずほ）
14歳男性 164cm/42kg

「過去が消失することはけしてありません。僕は何をも忘れたことがない」

この物語の主人公の片割れ
感情をあらわにすることがない、ロボットのように無機質な人物

物体に己の『記憶』を焼き付ける異能をもつ
焼き付けられた物体に他の生物が触れると記憶が『伝染』し、自ら経験したことのように感じることになる
異能とは別に異常な記憶力を持ち、何かを『忘れる』ことがない

実は『イバラシティ』の生まれではなく、イバラシティを侵略する『アンジニティ』でもない
どこか別の世界からやってきた人間である
その世界には、イバラシティでなら当たり前のものとされるような『異常』な存在を
片っ端から封じ込めて管理する『WSO』という組織が存在する
一穂もまたWSOによって管理される者で、かつては残酷な実験を受けてきたらしく
その記憶が彼の強力な武器となっている



K.M（クリストファ・マルムクヴィスト）
14歳男性 164cm/42kg

「もしかしたらみんな助けられるかもしれないんだ！　こんな戦争から！」

この物語のもうひとりの主人公
一穂とうりふたつの姿をした少年で、服の色だけが違っている
だが心は彼と似ても似つかず、優しく感情豊かな少年である

物体を分解し別なものに『再生』させる異能を使う
だが、再生されたものはK.Mへの脅威を『はねかえす』ようにしか動かない

その正体はイバラシティを侵略する異世界アンジニティに属する存在である
だが、争いを好まぬ彼は、イバラシティとアンジニティの住民両方を救うために
『ワールドスワップ・ジャック』なる作戦を実行しようとする
そのために、一穂の力を必要としているらしいが……？



川野美香（かわのよしか）
14歳女性 165cm/47kg

「こんなところに放り込まれたってンなら、覚悟するしかないじゃない！」

一穂とコンビを組む少女
強気な性格だが、世話好きな一面もある
一穂のことをなにかと気にかけつつも頼りにしているようだ

その異能は『波を凪ぐ』力
水面の波だけでなく、音や心拍など『およそ波形として表されるもの全て』を凪ぐことができる
だが、波形を感覚で捉えられなければ発動することができない

彼女もまた、一穂と同様WSOに管理されていた



箕形俊夫（みかたとしお）

カスミ湖での事件で美香とともに行動した角刈りの少年
年齢は高校生ぐらいと思われる

異能は生物をなんらかの『機械』のように振る舞わせるもの
しかしその生物の『生命エネルギー』を消費し、使用後には死なせてしまうことになるため
俊夫はこの力のことを快く思ってはいない



磯崎ユーミ（いさきゆーみ）

一穂の知人の女性
重い病気にかかり、リュウジン区とウシ区の境にある病院で入院生活を送っていた

実は制御困難かつ危険度の高い異能を抱えており、社会で生きていくために異能矯正治療を受けていた
だが新薬によって生じた薬害により、長くは生きられない身となってしまった

ある事件の末、その命は尽きた



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＜『WSO』＞

正式名称『World Standardizer Organization』

『世界の基準』と照らし合わせて異常なるもの『デビアンス』を
捕らえ、管理し、研究することを目的とした、世界的な巨大組織である
各国に支部が存在し、一穂や美香は日本支部にて管理されている

WSOは大国の国家予算をも上回るほどの資金力を有し、
凡庸さを求める社会では持て余す天才たちと、過酷かつ奇怪な訓練を乗り越えたエージェントたち、
そして秩序を保つためにはまだ世に出すべきではないと見なされた技術を抱え、
常識を超えた振る舞いを見せるデビアンスたちに立ち向かっている

WSOはその存在を一般社会に公表してこそいるものの、
彼らに見せる姿は実情とは全く異なる

それは例えるなら、幼子を見守る父母のようなものである



＜『デビアンス』＞

デビアンスは様々な形態のものが発見されている

想像上の生き物とされていた動物、奇妙な機能を示す道具や機械、
常識が通用しない場所、伝わるうちに現実を歪めていく噂、
気づかれるべきでなかった世界のルール、……

デビアンスの中には、一穂や美香のようにイバラシティに現れたものたちもいる



『骨抜きの犬』
（登場: #1）

見かけはただの犬だが、人に向かって吠えると体の中の骨を抜き取ってしまう力がある
抜いた骨はそのまま食べているらしい
犠牲者はぶよぶよとたるんだ肉塊のようになる

ツクナミ区の路地裏に現れ、一穂が確保を試みるも失敗し、
居合わせたK.Mによって殺害された



『波のニンフ』
（登場: #3〜4）

水中に潜む存在
水面に発生する『波』に沿ってしか動くことができないが、波が大きくなるほど力も強くなる
人を襲うが、一説には人間の体を手に入れることで波の外でも動き回れるようになると考えているためらしい

カスミ湖に潜み、いくらかの行方不明者を出していたが
一穂、美香、俊夫の3人が協力して立ち向かい、捕らえることに成功した



『癒しの手』
（登場: #7）

苦しむ者の前に現れる、光り輝く『手』
その手を取ればたちどころに苦しみが癒やされる
しかし、代償に誰かの生命が吸い上げられてしまう

K.Mは病に苦しむユーミのもとにこの手が現れることを願い、実際その通りになったが
手の真実を知ったK.Mはユーミを殺人者にすまいと止めにかかる
それでもユーミは手を取ろうとしたが、手が命を吸い上げたのは
彼女が受けた薬害の原因となった医者、そして止めに入ったK.Mからであった

K.Mが苦しむ姿を見たユーミは手を離し、そのまま死を受け入れたのだった



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　そして『ワールドスワップ・ジャック』は幕を開ける



　『イバラシティ』の維持でも

　『アンジニティ』への反転でもない



　『第三の結末』



　それは『大団円』か

　それとも『悲劇』か……



　『正しき道』は誰も知らない

　確かなことはただひとつ

　いかなる終わりが来ようとも






　宮田一穂は忘れない






- To be continued -

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