シャルーン
なつめの異能によって異世界から召喚されてしまった、ホムンクルスの女の子。
エリカの家に居候をしている。
悪趣味な錬金術師が試験管の中に創り出したのは、その中でだけしか生存できない偽りの命。
たまたま人の形をとった私を、たまたま抱き上げたのは、女神だった。
女神は私に、外の世界で生きる”名前”をくれた。
生と死の間の世界、Elysion。
どこまでも空は青く澄み渡り、広大な花の丘で、旅立つ魂を背に乗せたペガサスが大地を蹴る。
ペガサスが行く先は、万物の命の源、世界樹。
その世界を作った母は元人間、支える父は生来の神。
二柱の話は、ロマンティックな神話として、より世界樹信仰を厚いものにしている。
立場が難しい二柱が、理の外のホムンクルスを実子として養子に迎えたことは、そこだけ切り取れば美談だった。
例え親に恵まれなくとも、神は見捨てない。
例え親に恵まれなくとも、育て親の元で子は立派に育つ。
……試験管から出てみたいと、生きてみたいと泣いた赤子は、不死だった。
寿命が長い神にとっては、不死も神もそう大差はない。
両親と一緒に、人々や世界樹のために働く神になる道を提示できるからこそ、手を取ってくれた事は知っている。
けど
”不死”と”神の寿命”、は違うと思う。
お母さんとお父さんは、いつかは世界樹に還れる。
私は……??
置いていかないで、と言うのが嫌で、なんとなくぼんやりしながら世界樹の裏の道を通った。
”こうなること”を、どこか望んで。

[770 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[336 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[145 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[31 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「うんうん、順調じゃねーっすか。 あとやっぱうるせーのは居ねぇほうが断然いいっすね。」 |
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白南海 「いいから早くこれ終わって若に会いたいっすねぇまったく。 もう世界がどうなろうと一緒に歩んでいきやしょうワカァァ――」 |
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カグハ 「・・・わ、変なひとだ。」 |
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カオリ 「ちぃーっす!!」 |
チャット画面に映し出されるふたり。
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白南海 「――ん、んんッ・・・・・ ・・・なんすか。 お前らは・・・あぁ、梅楽園の団子むすめっこか。」 |
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カオリ 「チャットにいたからお邪魔してみようかなって!ごあいさつ!!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
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白南海 「勝手に人の部屋に入るもんじゃねぇぞ、ガキンチョ。」 |
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カオリ 「勝手って、みんなに発信してるじゃんこのチャット。」 |
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カグハ 「・・・寂しがりや?」 |
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白南海 「・・・そ、操作ミスってたのか。クソ。・・・クソ。」 |
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白南海 「そういや、お前らは・・・・・ロストじゃねぇんよなぁ?」 |
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カグハ 「違うよー。」 |
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カオリ 「私はイバラシティ生まれのイバラシティ育ち!」 |
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白南海 「・・・・・は?なんだこっち側かよ。 だったらアンジニティ側に団子渡すなっての。イバラシティがどうなってもいいのか?」 |
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カオリ 「あ、・・・・・んー、・・・それがそれが。カグハちゃんは、アンジニティ側なの。」 |
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カグハ 「・・・・・」 |
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白南海 「なんだそりゃ。ガキのくせに、破滅願望でもあんのか?」 |
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カグハ 「・・・・・その・・・」 |
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カオリ 「うーあーやめやめ!帰ろうカグハちゃん!!」 |
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カオリ 「とにかく私たちは能力を使ってお団子を作ることにしたの! ロストのことは偶然そうなっただけだしっ!!」 |
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カグハ 「・・・カオリちゃん、やっぱり私――」 |
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カオリ 「そ、それじゃーね!バイビーン!!」 |
チャットから消えるふたり。
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白南海 「・・・・・ま、別にいいんすけどね。事情はそれぞれ、あるわな。」 |
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白南海 「でも何も、あんな子供を巻き込むことぁねぇだろ。なぁ主催者さんよ・・・」 |
チャットが閉じられる――