
閉店時間を迎え店のシャッターを閉め、裏口にある2階の住居へと続く階段を上る。
今日の晩御飯はどうしようか、自炊はあまりしない生活を送っていたけど、成長期の弟に毎日外食やコンビニの弁当はいけない気がする。
簡単なものでも作るようにするべきだろうか。など考えながら扉を開ける。
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棕櫚 「ただいま…ってあれ…?なんかいい匂いがする…」 |
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梯梧 「お疲れさま!あのね、今日は夕飯作ってみたんだ」 |
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棕櫚 「なんと…!?」 |
扉を開けると玄関の先がすぐにダイニングキッチンだ。
食卓へと視線を向けるとハム・レタス・チーズが挟まれたベーグルと、鶏肉の照り焼き、卵を溶いたスープが並んでいる。おお、と感嘆の声をもらしつつ、一度洗面所へ向かい手洗いとうがいを済ませ、食卓へ戻る。
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梯梧 「作れそうなものから作ってみたから、ちょっとメニューのバランスは悪いかもしれないけど…」 |
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棕櫚 「いやいや、凄いよ、充分だ。…いつの間にか料理が出来るようになってたんだね」 |
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梯梧 「ううん、家庭科の調理実習くらいしかやった事なかったんだけど、 居候させてもらう身で何もしないのも申し訳なくて…。 初心者向けのレシピを買ってきたんだ」 |
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梯梧 「そういえば本屋さん、兄さんの事知ってたみたい。 花屋の知り合いに似てるって言われてびっくりしちゃった。」 |
楽しげに語る弟を微笑ましく思いながら、よく来てくれるお客さんで本屋を営んでいる方は誰だろう、と考えた。
接客の上で相手の職業を聞くことはなかなかない。
そういえば本の日というものがあると教えてくれた方がいたな、とふと思いだした。
何故だろう、あの人とはもっと別の事も話している気がする。
-……心配事……乗り気……貴方が貴方でなくなって……進むしか無い……-
瞬間。靄がかかったように断片的な記憶がぽつりぽつりと浮かぶ。だがどれも己の耳で聞いたという実感がない。
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棕櫚 「…?」 |
妙な感覚に白昼夢でもみた心地に陥るが、『兄さん、スープが冷めちゃうよ』の声にはっと意識を取り戻す。
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棕櫚 「あ、ああ。そうだね。いただきます」 |
席に着き食事を始める。弟は自信なさげにこちらを見ていたがどれも美味くできていた。
それを告げると弟は笑みを浮かべる。
少し疲れていたのかもしれない。身に覚えのない断片的な会話はきっといつか夢ででも見たのだろう、と己を納得させ、食事を続けた。

[770 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[336 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[145 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[31 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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エディアン 「・・・おや。チェックポイントによる新たな影響があるようですねぇ。」 |
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エディアン 「今度のは・・・・・割と分かりやすい?そういうことよね、多分。」 |
映し出される言葉を見て、腕を組む。
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カオリ 「ちぃーっす!!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
チャット画面に映し出されるふたり。
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エディアン 「あら!梅楽園の、カオリちゃんとカグハちゃん?いらっしゃい!」 |
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カグハ 「おじゃまさまー。」 |
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カオリ 「へぇー、アンジニティの案内人さんやっぱり美人さん!」 |
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エディアン 「あ、ありがとー。褒めても何も出ませんよー?」 |
少し照れ臭そうにするエディアン。
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エディアン 「間接的だけど、お団子見ましたよ。美味しそうねぇあれ!」 |
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カオリ 「あー、チャットじゃなくて持ってくれば良かったー!」 |
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カグハ 「でも、危ないから・・・」 |
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エディアン 「えぇ、危ないからいいですよ。私が今度お邪魔しますから!」 |
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エディアン 「お団子、どうやって作ってるんです?」 |
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カオリ 「異能だよー!!私があれをこうすると具を作れてー。」 |
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カグハ 「お団子は私。」 |
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カオリ 「サイキョーコンビなのですっ!!」 |
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カグハ 「なのです。」 |
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エディアン 「すごーい・・・・・料理系の異能って便利そうねぇ。」 |
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カオリ 「お姉さんはどんな能力なの?」 |
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エディアン 「私は・・・アンジニティにいるだけあって、結構危ない能力・・・・・かなー。」 |
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カグハ 「危ない・・・・・」 |
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カオリ 「そっか、お姉さんアンジニティだもんね。なんか、そんな感じしないけど。」 |
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エディアン 「こう見えて凶悪なんですよぉー??ゲヘヘヘヘ・・・」 |
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カオリ 「それじゃ!梅楽園で待ってるねー!!」 |
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カグハ 「お姉さん用のスペシャルお団子、用意しとく。」 |
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エディアン 「わぁうれしい!!絶対行きますねーっ!!!!」 |
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エディアン 「ここじゃ甘いものなんて滅多に食べれなさそうだものねっ」 |
チャットが閉じられる――