［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

***


「何が面白いのかなあ」
チャンネルを回し、目に留まった昼のニュースに向かって独り言をこぼす。
それは殆ど無意識の、クセのようなものだった。



――なんの変哲もない、1990年代の夏。
研究室の窓は開け放たれ、書類が散乱した部屋の真ん中で、年代物の扇風機がギイギイと軋みながら懸命に首を振っている。

「んー？なんの話ー？」
外から響き渡る蝉の大合唱、に負けないよう少し張り上げたのであろう『先生』の声が、背もたれの向こうで聞こえた。
寝転がっていたソファから上体を起こす。彼女はこちらに顔を向けながら、長い髪を雑に後ろでまとめているところだった。
「それです、それ」
手に持っていたチャンネルで画面を指す。黒く焼けた住宅に放水する映像の隅に、『〇〇市住宅火災　一家３人焼死』『虐待、ギャンブル依存、近隣トラブル――混迷する捜査』のテロップが浮かんでいる。
「最近多いねえ。こういうの」
「ね。特にこの事件は騒がれてますよ、たしか火元も曖昧で原因が絞れないって」
「こんな問題だらけのおうちなら、ご近所から恨みとか買って放火されたんじゃないの」
「かもしれないです。俺は違うと思いますけど」
「じゃあなんで燃えたのさ」

彼女がソファを回り込んで来たので、座面から足を下ろす。興味を持ったらしい『先生』は、空けられた席に腰掛け、少女のような期待のまなざしでこちらを見つめた。
これで俺の倍は生きてるのだから、ひどい詐欺だ。"魔女"なんて異名は伊達じゃない――尤も、『先生』本人はその二つ名も、瑞々しいまま老いない容姿も、あまり気に入っていないようだったが。

「人体自然発火現象です」
これは、微妙に嘘。
「え……なに？それ」
「うそお、先生聞いたことないんですか？火元もないのに人体が勝手に燃えるって話。なんでも空気中のプラズマが被害者にうつって引火したとか、体内のリンが発火したとか」
べらべらと言葉を並べてみるが、彼女は呆れたような顔で眉根に皺を寄せた。
「それは嘘だろ。お前はなぁんでいっつも一発で正直に言わねえかなあ」
「発火現象の説明自体はほんとにある説ですけどね。なんで分かったんですか？」
「バレバレだわ喋り方で」

そりゃあ、バレるように喋っていますので。

「こういうのってすぐ正解分からないほうが面白いじゃん」
「そんなことないよ。っていうかさあ、お前それ、自分の予想が絶対正解だと思ってんの？」
「当たり前でしょ」
「っはあー……腹立つわあ……」

彼女はソファの肘掛で頬杖をつき、ぷいと顔を背けてしまった。そのあどけなさに思わず苦笑する。
どう見ても高校生か、頑張っても俺と同年代くらいにしか見えない。この人、本当に40代なのかな。
何となく、再びテレビ画面の中の人々を眺めると――相変わらず良い服を着た人たちが、それはそれは面白そうに、無意味で的外れで全く面白くない議論を繰り広げていた。

「異能者の案件だと思いますよ、これ」
テレビを見たまま呟く。視界の端で、『先生』がこちらを向いた。
そうだよね、こんなクソつまらない暇つぶしよりは俺の話のほうが絶対面白い。
「犯人が？」
「まあ、そうですね」
「はっきり言えよ」
「犯人って言ったら犯人ですけど。たぶん、息子さんが」
暑さでだるい体をなんとか立ち上がらせた。二人が風に当たる向きで扇風機の首振りを止める。
「パイロキネシス？」
「うん。死ぬ直前に開花したんだと思う」
「なるほどねえ。そういうことなら、んー……ウチの研究室に、警察から依頼が来るかもねー……」
「そうですね。報酬弾んでもらいましょう、先生」
彼女は喋りながら大きな伸びをした。これから忙しくなるな、とでも考えているのだろう。




「でも惜しかったよね、あと少し早く目覚めたら死体は２つで済んだのに」

再びソファに腰掛けようとした俺を、『先生』は苦虫を噛み潰したような表情で見上げていた。
「金木……外で言うなよ、それ」
「あはは、言いませんよ、こんなこと」


***



かれこれ数十分、森に飲み込まれた瓦礫の上を歩いている。
足場は最悪。景色も変わらず、おまけに常に辺りを警戒しなければならない。
茅は気丈に振舞っているけれど、顔色には着実に疲れが見え始めていた。
俺は慣れているから気にせず休んで欲しい――とは言えないから、月並みの言葉をかけることしかできないのが歯痒い。

「茅。見えてきたよ」

俺が見上げて声をかけると、どこかぼんやりした様子で歩を進めていた彼はハッとした様子でこちらに視線を合わせた。
「あ、ああ。思ったよりは近かったな」
「そうだね……でも、あっちまで行けばまた戦いが起こりそう」
遠くに見える目的地と思しき場所を睨みつけながら、二人してため息をつく。
少なくとももうじき森を抜ける。そうすればこの疲れきった空気も少しは軽くなろうが、一時とはいえ心も体も休まらないのは、おそらくつらいものだ。

「ねえ、乗り込む前に少し休んでもいい？疲れちゃった」

きっと彼は快諾してくれるし、何も疑わないのだ。俺はそれに甘えている。
焼き切れてもいい、彼にこんな苦労をさせないくらい強くなりたい。



きみに貰った沢山のものを返してみせる。
一番の友達のきみに。
僕が地獄に堕ちる前から、ずっと寄り添ってくれた、きみに。

特に何もしませんでした。

幻術LV を 5 DOWN。（LV20⇒15、+5CP、-5FP）

武術LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）

名もなき影(1295) とカードを交換しました！

カランコロンと楽しく愉快に （ダークネス）


フロウライフ を習得！
サンダーショット を習得！
チャージ を習得！
デストロイ を習得！
ムーンサルトプレス を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

スミレ(1127) は 山査子 を入手！
茅(1134) は 山査子 を入手！
スミレ(1127) は パンの耳 を入手！
スミレ(1127) は ビーフ を入手！
茅(1134) は 赤い薔薇 を入手！

チナミ区 M-15（草原）に移動！（体調10⇒9）
チナミ区 N-15（森林）に移動！（体調9⇒8）
チナミ区 O-15（森林）に移動！（体調8⇒7）
チナミ区 O-16（森林）に移動！（体調7⇒6）

採集はできませんでした。
　　 - スミレ(1127) の選択は チナミ区 H-16：チェックポイント《瓦礫の山》（ベースキャンプ外のため無効）

MISSION!!
チナミ区 O-16：梅楽園 が発生！
　　 - スミレ(1127) が経由した チナミ区 O-16：梅楽園
　　 - 茅(1134) が経由した チナミ区 O-16：梅楽園

［770 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［336 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［145 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［31 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　








チャット画面に映し出されるふたり。

　










　

　

　











　







チャットから消えるふたり。

　

　

　





チャットが閉じられる――

ハザマのなか、咲き乱れる梅の木たち。

梅林にはほんのりと良い香りが漂う。

その景色は美しく見えるが、同時に異様にも映る。

　

園内を進んでいくと、周囲の梅の木がざわめく･･･






木が不自然に捻れ、音を立てる。

ボコッと地面から根が飛び出し、木が"歩き"はじめる･･･