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―― 耳を圧迫するような、風のなびき。 大きな翼が、上空で羽ばたき―― 急降下してきた!木々の葉が吹き飛ばされる! 大烏の化け物が現れた! |

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ハザマの大地を踏む黒鉄の音。 暗い諦観を瞳に宿した男が、剣を構える。 |
| ユウタ 「百葉箱の、しぃらさん……?」 |

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石動 「…和解の道は…ねーって感じだな。」 |
| ユウタ 「あの、カラスの…違っ」 |
| ユウタ 「百葉箱のしぃらさん、ですよね」 |
| 相手の戦意にたじろぎ、言葉に詰まる |
| ユウタ 「…冗談、ですよね、だってしぃらさんはルネの友達だし…」 |
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巨大なカラス。 呪いに汚れ切った、闇に濡れた暗黒の翼。 せりだすように半裸の女性が現れる。 |

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イバラシティの『異能』とは異質な力。 燐光を放ち空気をふるわす、唄うような魔導の力。 魔法。 おとぎ話のような――というにはおぞましい、悪意を纏った魔女があなたたちを見据える。 |

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魔女の心に流れる冷血が伝染するかのように、 ぞっとするような冷気が蔓延する。 あまたの命を奪い去った黒風が吹く。 |
『♪ひとつ、光のとどかない ふたつ、深い土の中 みっつ、みぃんな死んだのよ』 その女性は、あなたたちより年上だろう。大人の女性だ。 けれども少女のようにころころと笑う。 夢見るようにかろやかに、好奇心に目を輝かせて見つめる。 「 ……うふふっ おはようございまーす!イバラシティのおにいさん。 わたしたちのために、ちょっと屈服してほしいのだわ。ええ、悪いようにはしないもの!」 |

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呼吸に肩が上下する。 |
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深く吐き出される息。震えるその末尾。 |
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抜身の剣を握り直す——その手はやはり震えている。 |
| ダーシャ 「……」 |


| ユウタ 「あ、あの…」 |
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石動 「なんとか隙きみっけらんねぇかな」 |
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きらり きらり 魔女のみつあみの先で、髪飾りが踊りきらめく! |

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石動 「…っぶね!!」 |
| シーラ 「逃れられはしないものよ」 |

| ユウタ 「…もしかしてあいつらにも同じように…するの?」 |
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(宙に浮いた風見鶏が キィ、キィと耳障りな音を立て回転している。 …やがて方向を定め…) |
| シーラ 「こっち!ね?」 |
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石動 「うえ…っ、意外とあたらねぇ。」 |
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きらり きらり 魔女のみつあみの先で、髪飾りが踊りきらめく! |

| ユウタ 「…うあっ!」 |
| シーラ 「…あら? (ちりん、ちりんと髪飾りを指ではじいている) 寿命かしら、動きがにぶい…」 |

| 嫌だ嫌だと念じる、異能の力がまっすぐと方向を示し――― |
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石動 「こいつはどーよ」 |
――――ビリリッ カラスの鳴き声に呼応し 空気がしびれる! |

| 手をかざし拒絶の意思を示す |
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(宙に浮いた風見鶏が キィ、キィと耳障りな音を立て回転している。 …やがて方向を定め…) |
| シーラ 「こっち!ね?」 |
| ユウタ 「危ない!」 |
| 手をかざし拒絶の意思を示す |
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魔女の声が響き渡る。 未来を予見したかの様な迷いの無い言葉、 絶対的優位をしめさんとする高慢で卑劣な誘導の物言い。 隷属の血を持つもの、習性を植えつけられたものものにとって、抗い難い― |

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―― イバラシティにおいては『百葉箱』のある場所。 そこに魔女の塔が立つ、魔物が湧いてくる。 |

| ユウタ 「来るなよ、危ないから…」 |
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石動 「なんとか戦況変えらんねぇかな!」 |

ギャア ギャア! |
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ダーシャ 「ちっ」 |

| 拒絶の力を強める |
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石動 「サンキュ」 |
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石動 「ってぇ」 |
| ユウタ 「あ、ありがとう…」 |
| ユウタ 「楽になったよ」 |
| シーラ 「こうべを垂れよ」 |
| ユウタ 「…うあっ!」 |
| シーラ 「逃れられはしないものよ」 |
ギャア ギャア! |

| ユウタ 「苦しい…」 |
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石動 「サンキュ」 |
| ユウタ 「楽になったよ」 |

| シーラ 「逃れられはしないものよ」 |
ギャア ギャア! |
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叩き斬る。 |

| ユウタ 「っ…!」 |
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石動 「サンキュ」 |
| ユウタ 「来るなよ、危ないから…」 |
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石動 「まだなんとかなりそうか…?」 |
| ユウタ 「あ、ありがとう…」 |
――――ビリリッ カラスの鳴き声に呼応し 空気がしびれる! |
| シーラ 「逃れられはしないものよ」 |

| シーラ 「逃れられはしないものよ」 |
ギャア ギャア! |
重たい鉄が風を切る音。 |
| 石動のカード発動! |
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石動 「ちょいやばい?」 |
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石動 「わりぃ、ユウタ」 |
| ユウタ 「いずる?…いずる!!」 |

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ユウタ 「いやだ、いやだいやだ! もう 嫌だ!!!」 |

| シーラ 「わかったわ。 ごめんなさい。 うふふ。 もうやめましょう? 争うなんて。 それにあなたたち、わたしを殺せば夢見が悪いはずよ。 魔女と言ってもわたしは人間。そして女。 あなたたち、ええ、人殺しになるってことなのだわ。 その罪は決して消えないもの。普通の日常になんて帰れない、きっとね。 だから、ね、仲直り。こんな戦いは止め。 関係ないわ、イバラシティもアンジニティも。 私たち同じニンゲンですもの、一緒にどうすればいいか考えましょう。 それがいちばんいいこと、でしょう? わかってくださるかしら、さあ、武器をおさめてこちらへ来て。…」 |
『仲直りをしましょう!』 |

ギャア ギャア! |
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次の獲物に視線を移す。 |

| ユウタ 「っ…!」 |
――――ビリリッ カラスの鳴き声に呼応し 空気がしびれる! |
| シーラ 「逃れられはしないものよ」 |
ギャア ギャア! |
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次の獲物に視線を移す。 |
| ユウタ 「いずる?…いずる!!」 |

| ユウタ 「ほんと、危ないから…」 |
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■ 「 『魔法がわななく』」 |

| ユウタ 「…うあっ!」 |
| シーラ 「あら?まあ!」 |
ギャア ギャア! |
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懐へ飛び込む。 |

| ユウタ 「っ…!」 |
| ユウタ 「いやだ、死にたくない…」 |

| 悪意の魔女のカード発動! |
――――ビリリッ カラスの鳴き声に呼応し 空気がしびれる! |
| シーラ 「そう。そのまま地面にくちづけて。 こうべをたれて許しを乞うの 悪いようにはしないわ」 |
ギャア ギャア! |
| シーラ 「服従しなさい」 |
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青ざめた顔で膝をつく、ポケットからカードが落ち |
| ユウタのカード発動! |
| ユウタ 「こわい…」 |
| ユウタ 「ごめん、いずる」 |
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0 0 0 0 0 0 |
0 0 0 0 0 0 |
火 水 風 地 光 闇 |
0 0 4 0 0 0 |
0 0 0 0 0 0 |
0 0 0 0 0 0 |
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| シーラ 「ほら、こちらへ近寄っておいでなさいな。 あなたがた、わたしの従者になるといいわ。 ……」 |
| シーラ 「…あら? にげられちゃったかしら!」 |

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剣先が地に触れる。わずか乾いた血の匂いがする。 |
