［基本］OK.　［戦闘］OK.　［スキル］OK.　

「行ったことのない、外の世界を見て回りたい」
　
　２年前。
　そう言ってジェイド王国を発つ幼馴染のユカラ(ENo.839)を追って、私は世界を巡る旅に出た。
　枯れた大地に力強く生きる砂漠の民の国、荘厳な教会の建つ聖国、自然に囲まれた東洋の皇国など各地をめぐり、その旅を終えた頃には１年の歳月が経っていた。
　歳も近い若い男女が一緒に過ごす二人旅、道中で何も起きないわけがなく。

　残念ながら、何にも起きませんでした。

　いや、まぁユカラが昔は私のことを異性としても見てない相手から、ちゃんと女の子として見てくれるようになった事で返って距離が縮まらなくなったみたいな？
　でも、旅立つ前から幼馴染のアズちゃん(ENo.841)がユカラに想いを寄せてるっぽい事は分かっていたので、私だけ抜け駆けするのも気が引けたというか。
　もう少し何かあっても良かったなぁとは悔やみつつも、今思えば結果オーライだったと納得したりもするのだった。


　ユカラと巡る異国の旅も終わり、ジェイド王国に戻って暫く経ったある日。
私は急用との事で、錬金アカデミーの理事長室へと呼ばれたのだった。

「実はね、困ったことになっているのだよ。ウルドくん。」
　
　髭の長い如何にも錬金術師らしい老人の理事長は、太い眉を下げて席を立った。
　理事長の話では、ジェイド王国と交易を結んでいる某国の大使館の職員が急に次々と辞めて、人手が足りなくなってしまったとの事だった。
　ジェイド王国は、自国ですら王宮に仕える人が足らずに長時間労働を強いられているのだが、その某大使館の方も人員が足りなくて重労働に耐えかねて逃げ出したのではないか。
　今こそこの国には働き方改革が必要なのでは？
　私は理事長に提案したくなったが、環境整備がろくにされてない学院での負担が更に掛かりそうなのでそこは黙った。

「やー、大変ですね。で、そのお話と私に何の関係があるんですか？」

　その質問に理事長は目を輝かせると、近寄ってきて私の肩を両手で掴んだ。
理事長、そういうの今だとセクハラで訴えられますよ？
　然し説明するのが面倒なので乾いた笑いでスルーする事にする。
　色々異世界というのは面倒くさいのである。
　

「実はね、国王様が仰っていたのだが、君は元々イバラ出身だったそうじゃないか。地元の事はよく知っているだろう？なので、ウルドくんに大使館の方が落ち着くまでの支援をお願いしたいんだ。」

「えっ、イバラキは確かに地元ですけど……えっ？元の世界に帰れるんです？」

　そもそもイバラキに住んでいたのだって子供の頃だし、ジェイド王国がイバラキと交易してるなんて初耳である。
　つうか国じゃなくて、北関東の県と繋がってるんかよ。地味すぎる。
　それはさておき。
　過去に私が異世界と繋がる穴に誤って落ちて、ジェイド王国に迷い込んで来た時に何故か元の世界には別の『深雪』が居て、何事もなく平穏な日常を送っていた。
　その影響で私は『佐藤深雪』では無い誰かとして、この異世界で暮らすことなるのだった。
『ウルド』は名乗る名前がなくて困っていた時に、たまたま私を拾ってくれた師匠からつけられたもの。
　それ以降、私は『ウルド』としてすっかりこの郷にも順応して、宮廷錬金術師兼アカデミー教師として社畜のごとく働く毎日を過ごしている。
　
　私の現在に至る経緯はこの辺にして、イバラキ出張の件に話を戻そう。
　元の世界で暮らしている『深雪』と今の私がイバラキで出会ってしまって、大丈夫なのだろうか。
　それでも、戻ることを諦めていたイバラキに帰れるのなら、これはチャンスなのかもしれない。
　顔を合わすと喧嘩ばっかりしてたお姉ちゃんや、優しいお父さんと天然のお母さん。
　代わりの『深雪』によって私の居場所が無かったとしても、ひと目でも会って満足したい。
　まあでも、私ももう二十歳過ぎたし身内と再会しても泣くほどは感動しないとは思う。
　……多分。

「分かりました。私も久々に両親にも顔を見せたいですし、引き受けたいと思います。でも、流石に辞めた職員さんの分を全部補うのとか無理だと思うんですけど、誰か来るんですか？」

　私の質問に理事長は肩から手を離すと、おもむろに窓の外を眺めた。

「それがだね、我が学院も人員不足でね……これ以上の人事異動は無理なんだな。ウルドくん、君の
コネとツテを使って、まぁ何とかしてくれたまえ。雇用費は大使館の方で出してくれるから」
「給料が出るなら集まりそうではありますが、そんな集め方でこの国は大丈夫なんですか？」
「うむ、大丈夫だ。ウルドくんの事を信頼してるからね」

　理事長からひどい丸投げを食らった私は、仕方がないのでダメ元で頼れそうなユカラとアズちゃんにまず声を掛けてみる事にした。

「いいよ」

　二つ返事であっさり同行してくれるユカラとアズちゃんに感謝して、私はイバラキに向かう準備を整えるのだった。
　いやぁ、持つべきものは友だよね。
　まぢ感謝した。
　


「Welcomeようこそ！イバラシティへ！いやぁ、待ってたよー！」

　大使館の館長を勤めるロケットさんは、私達が到着するなり手厚く出迎えてくれた。

「えっ……ここ、イバラキじゃないんだけど？というか前にこんな事があったようなデジャヴ！」

　地元に酷似してるけど微妙に違うこの土地に困惑しつつ、尚かつ今までの事に既視感を覚えて、その後のロケットさんのこれからの仕事の話は殆ど聞いてなかった。
　
　
　……何なのイバラシティって？

ENo.839 ユカラ とのやりとり

エナジー棒（30 PS）を購入しようとしましたが、PSが足りませんでした。

時空LV を 15 UP！（LV0⇒15、-15CP）
領域LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
装飾LV を 15 UP！（LV0⇒15、-15CP）
合成LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）

ウィンドカッター を習得！
リフレクション を習得！
カマイタチ を習得！
アゲンスト を習得！
☆風の祝福 を習得！
☆初習得ボーナス：各FPが2増加した！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

深雪(840) は 不思議な食材 を入手！

次元タクシーに乗り チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》 に転送されました！


チナミ区 E-6（道路）に移動！（体調30⇒29）
チナミ区 E-7（道路）に移動！（体調29⇒28）
チナミ区 E-8（道路）に移動！（体調28⇒27）
チナミ区 E-9（草原）に移動！（体調27⇒26）
チナミ区 F-9（沼地）に移動！（体調26⇒25）

ユカラ(839) からパーティに勧誘されました！

採集はできませんでした。
　　 - ユカラ(839) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》（ベースキャンプ外のため無効）
　　 - 深雪(840) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》（ベースキャンプ外のため無効）
　　 - アズ(841) の選択は チナミ区 E-5：チェックポイント《出発地》（ベースキャンプ外のため無効）

―― ハザマ時間が紡がれる。

　





チャットで時間が伝えられる。




グチャッとなったどこかのナレハテの映像をまじまじと見つめる白南海。

　

その背後から、突然タクシーが現れる！！

白南海のすぐ横を走り抜け、止まる。




タクシーの窓が開く。






帽子を少し頭から離し、ほんのちょっと頭を下げる。






窓が閉められ、タクシーが走り去っていく。





白南海からのチャットが閉じられる――