
変な空間に呼び出されて、人には明かしづらい職業の人から、
こんなところに呼び出された理由の説明を受けた。
存在したい場所を選びなさいって話として、
俺は大雑把に、それをうけとる。
ずらずら出てくるリストには、街の全員いるんだろうか。
このハザマとかって場所に居られるのは一時間しかないし、
たいしてしっかり見もしなかったけれど
全人口には長さが足りないような気もする。
真っ先に探してみたのだけれど
リストには、かあさんの名前は乗ってないみたいだった。
…………
白血球みたいに抵抗力として数えられそうな
街の何人かがチョイスされて選ばれたんだろうか。
ハザマって場所にもともといる人達にとってみたら
他所から来たやつらがガチャガチャやるなんて
実際とんでもない迷惑行為なんじゃないんだろうか。
ああ、でも。
攻めてきた側のアンジニティとかいうヤツらが
イバラシティで、当たり前みたいな顔で潜んでるって話は、
少しだけ、夢と希望があるなと思った。
すくなくとも「あっちの俺」は、俺が嫌いな人間が
恵まれていて正しく善良で立派な人間ですって顔をしてるやつが
いずれ消えるかもしれない可能性に縋っていられる。
同じルールに守られてるって建前がある間柄じゃ
どれだけ、どれほど相手の事が気に食わなくったって、
殴りかかるわけにも殺すわけにもいかない。
だいたい、いつだって向こうの方が「正義」だ。
世の中には柵と規制がいっぱいで、出来ることは限られてる。
でも。 相手が『敵』なんだったら、話は違う。
攻撃してきてくれるんなら、取れる手段は広がる。
俺はもともとイバラシティの人間で、
かあさんを何処ともしれない場所にやるわけにもいかない。
この状況を変えようとして来ているのは、アンジニティの方だ。
それなら俺は『抵抗』すればいいんだから。
その状況は、嫌いな味方との付き合いに気分がささくれだつより、きっと。
ずっと気持ちがスッキリするんじゃないかと、俺は思っている。
正解を知ってしまう前までは、期待をしていたい。
どうか、願わくば、俺が大嫌いな奴が
アンジニティ側でありますように。