赤黒い空に、極彩色の絵の具が泳ぐ。 きっとここは夢の世界だ。 |
歩行軍手が ふたりの行く手にあらわれた! |
ハヤミ 「そんじゃ、始めるか。 ずっと一人だったんでね、細かいところまで気が回らないかもしれないけど。」 |
ハヤミ 「俺にどうしてほしいかはちゃんと口で言ってくれよ。 誘っといてなんだけど、実はそういうの全然得意じゃないんだよね……。」 |
歩行軍手 「ぐぐぅ!」 |
歩行軍手 「ぐぐぅ!」 |
《攻撃》――色褪せた現実と紙上の暴力 |
《器用》――妄想を継ぎ接ぎ、ありもしないものをかたちどった |
《活力》――美は再び 立ち上がるちからを齎す |
《幸運》――知らしめよう 描き出せ 己はまだここにいる |
《血気》――壊す前に、裏切られる前に、握りしめられていた手のひら |
《器用》――どんな理不尽な目にあっても、前へ向き直るための瞳 |
《活力》――そうだ、笑え 笑っていればきっと、幸運はやってくる |
《回復》―― 生まれる日 生命は種は落とす |
《水回復》――老いる日 生命は水をうけ |
《光回復》――病める日 生命は光をうけ |
するりと線を引いた。 輪郭を得たまぼろしたちが、湧き出すように宙を舞う。 |
キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「……死ね!!」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
歩行軍手 「ぐっぐぐぅーッ!!!!」 |
ハザマの空に 星が光る |
キバ 「うわっ!こえぇっ」 |
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キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「……死ね!!」 |
歩行軍手 「ぐっぐぅー!!」 |
歩行軍手 「ぐっぐぅー!!」 |
《祝福》 ――展覧会〘エフェメラル〙の記憶。 |
今頃、アガタは何をしているだろうか。 イバラシティのアガタは、まだ生きているだろうか。 |
キバ 「あー、すんません、助かります……」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
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ざわめき。 |
キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「……死ね!!」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
歩行軍手 「ぐ?」 |
歩行軍手 「ぐ?」 |
1ページ、スケッチブックに絵が描き足された。 |
キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「おりゃ!」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
まぼろしは散り散りになって虚空に沈む。 |
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キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「……死ね!!」 |
歩行軍手 「ぐっぐぐぅーッ!!!!」 |
まぼろしは散り散りになって虚空に沈む。 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
異形の魚たちがするりとくぐり抜けていく。 |
『絵を描く人は絵を描くのがだいすきだ』 |
キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「これでどうだっ!」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
砕け散った架空が地に落ちて消えた。 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
生命の万感 |
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キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「……死ね!!」 |
歩行軍手 「ぐっぐぐぅ!!」 |
歩行軍手 「ぐっぐぐぅ!!」 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「しつっこいな!」 |
キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
躍るように踏み込み、独楽のように回る。 |
キバ 「やった……か?」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
歩行軍手 「ぐぅーッ!!」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
キャンバスの上に、淡い色彩を落とす。一輪、素朴な花の姿を描いた。 |
キバ 「あー、すんません、助かります……」 |
歩行軍手 「ぐ・・・ぐぅ・・・・・」 |
歩行軍手 「ぐ?」 |
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何も残らない。 |
キバ 「前に出るな、慎重に行くぞ……」 |
キバ 「くらえっ!」 |
歩行軍手 「ぐっぐぐぅ!!」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
歩行軍手 「ぐ・・・ぐぅ・・・・・」 |
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4 1 0 2 2 2 |
火 水 風 地 光 闇 |
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キバ 「はぁ、はぁ……。大丈夫っすか……?」 |
ハヤミ 「オーケー、サラッと先進んどくか。 大した怪我はないよな? 休憩したけりゃ早めに言えよ。」 |
仕留めたばかりのダンデライオンをつついている。 「これはちょっと花とは呼べないな」と冗談交じりに言いながら、立ち上がり砂を払う。 |